詩人:大示 | [投票][編集] |
全ての苦しみは
この世に堕ちた時より始まる
知らなくても良い憎しみ
刻まれる理不尽な痛み
逃れられぬ悲しみ
導く者の、愚かさに比例し苦しみは増えていく
指導者を選べぬのは何故
生まれ堕ちる世界も国も、選ぶ権利さえ与えられぬのは何故
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憶えてるよ
君との約束を
限り無く旅をしてきたけど星の数ほどの人に出会ったけれど
あの日の大切な約束は、色褪せることはなく
今もこの体の中で
柔らかい光を放っている
あと少しで会えるよ
だから、どうか
あの日のままの笑顔で
出迎えて
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旅するなかで君に似た人を見かけたよ
でも本物じゃないんだ
苦しくなった
甘い苦しさだった
『忘れてしまえば楽だよ』
両手を広げ微笑んだ
あの人は君の鏡像
手を伸ばせば冷たくて 抱きしめれば破片が突き刺さる
やっぱり、君じゃない
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砂時計の中に閉じ込められ声は外にとどかない
砂が降ってくる
天の砂が果てるまで
誰も動かさないで
このまま蓋を押し上げて
早く外に出たいんだ
砂まみれの情けない姿
君は「変わらないね」と
笑うだろうか
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大きな、ぬいぐるみ
それがこちらにやってくる
少しクッタリとした姿に
同情し苦笑い
『お気に入りってのも疲れるものですね』
目が×印になっている
限界が近いかな
いや、元からか
ぬいぐるみの後ろの小さな君に手招き
「抱っこしてあげる」
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透明な容器のなか
ゆるゆると揺れている
小さな小さな人魚姫
失った恋は
パチンと弾け
あなたは泡に
儚い恋と
それに囚われた姫
ユルリと混ぜて
一口飲んだら涙の味
少し切なくなった
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至福の香り
いろんな物に残り香が
優しく甘い
独特のその匂い
あの人に振りかけたら
雰囲気も変わるかな
人の目を盗み
こっそり舐めた
百年の恋も冷めるような
手厳しい味だった
匂いだけごちそうさま
詩人:大示 | [投票][編集] |
光溢れる中
僕の連れ合いは
僕の真似をしながら無言でついてくる
生まれた時から一緒にいる君はずっと君のまま?
それとも
時々、疲れて誰かと交代してたりして
月明かりもなく
電灯もない夜道
ふと振り返りたずねる
『君は今そこにいますか』