詩人:大示 | [投票][編集] |
殻を担いで
ゆるゆる行くカタツムリ
君の様に大事なものを
担いで行けるなら
私は安心できるだろうか
カタツムリ
哀しいけれど
人はカラを担いで行くしかない
何の重みも無い肩に
不安を感じながら
空を担いで行くしかない
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昔々、一生懸命
穴を掘って埋めた物がありました
そして今
穴の深さぐらいにまで
落ち込んで
埋めた物と再会しました
あの頃は
たまらなく嫌な物だったはず
だけれど
今は何故だか笑えてきました
少しは成長したのかな
そんな事もあったと
笑えるぐらいに
強くなったかな
昔々、埋めた物は
揺るがない足場に
変わろうとしています
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偽善といわれてもかまわない
たくさんの偽善を重ねて
いつしか本当の善に近づいていく
見返りなんて要るものか
呟いても
甘いシナリオが頭に忍び込む
善には成れない
ただ近づくだけだ
詩人:大示 | [投票][編集] |
歪みを隠さないで
私は鈍感だけれど
人は真っ白でないことは
わかっているつもりだよ
せめて答えを出させて欲しい
私でも治せる歪みなのか
そうでないのか
治せないからと言って
放り出しはしないから
隠したまま
苦しんだまま
遠くへ行かないで
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残念ながら相方は不在中
相手になりそうなのは
後から控え目についてくる
ずぶ濡れの孤独なハンター
『ご一緒にいかがですか』
チラリと視線を寄越し
ふいっ
と去っていった
猫にも
雨にも、ふられた日
早く帰ってこないかな
この傘は少し大きすぎるよ
詩人:大示 | [投票][編集] |
帰っておいで
待っているから
ここに吹く風は優しいよ
帰っておいで
どこにもいかないから
ここの空は近いよ
帰っておいで
もう一度会いたいから
ここの土は暖かいよ
帰っておいで
ずっと、ここにいるから
帰っておいで
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僕は、かつて
温かい羊水に身を委ねて
母の声に耳をすませていた
どんな声だったのだろう
君が僕の名前を呼ぶように
穏やかな優しい声だったろうか
僕は今
冷たい水に身を委ねて
君の声に耳をすませている