詩人:大示 | [投票][編集] |
嫌い、だなんて
相手を知らない間は
言えるものじゃない
どんなに嫌いと唱えても
どこかで否定する自分がいる
あぁ、こんなことを言っている間は気になって仕方ないんだ
これも情かな、と
小さく苦笑した
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二人を引き裂く
残酷な光
沈黙の月世界だけが
私の居場所だというのに
夜咲く花は枯れ果て
この手の中で掠れた音をたてる
赤く甘い密
もう一度啜り唇を一舐め 虚ろなガラス玉に口付け
また今夜
太陽の裏側でお会いしましょう
もうすぐ手に入る
あなたの全てが
私の全てに
待ち遠しくて朝も眠れない
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プラチナに照らされて
きつい酒を飲む
汗ばんだ身体を夜気に晒して
君の黒髪を撫でた
少し開いた唇に艶を感じて
空を見る
『憎い朝を飛び越えて
夜に君を閉じ込めたい』
こんな勝手な願い事は
新月も叶えてはくれないだろう
夜空を見れば
月が笑っていた
新月まで、あと少し
詩人:大示 | [投票][編集] |
遊ぶ子供達から遠いベンチ
お母さんのお腹に
耳をあてている小さな子
『本当にいるの?』
その呟きに
新しい命の光を感じた
何にも染められていない
透明の命
どうか綺麗に染まってください
まだ光見ぬ君に、幸あれ
詩人:大示 | [投票][編集] |
張り巡らされた糸
思いもよらないところにまで
それは繋がっている
下を向いて歩けば前が見えない
前を向けば足元を掬われる
まだるっこしいから
立派な羽根でもつけようか
罠を張り巡らしている誰かさん
あなたは、ずっと
其処でそうしているのですか
一人ぼっちの自分に
気づいていますか
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さっきからケータイばかり見てる
堂々とその姿を
見せつけてるものだから
気になって仕方ない
珍しく笑ってるあなた
そんなに面白いメールが来たの?
嫉妬(3) 興味(7)で近寄った
突然のシャッター音
もしかして
シャッターチャンス待ちだった?
ケータイ越しに見つめあい
二人、笑った
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私は全て成し遂げた
カーテンコールが
響いているけれど
もう私の物語は終わったの
だから続きは書かない
あなたの物語はまだ続くみたい
汗と涙をインクに
指先をペンにして
生きた証を綴りなさい
最後に約束して
最終章は決して自分で書かないで
運命の時が綴ってくれるから
詩人:大示 | [投票][編集] |
愛していた
言えなかった最後の言葉
溶けゆく私の体
暖かい冬 憎らしい
初めて出会った枯れた桜の木の下で
あなたを待っていた
あぁ、どうか一目だけでも
せめて、あと一言だけ
狂い咲きの里桜
残雪(ざんせつ)の命を
抱きしめて
伝えるのは最後の想い
『あなたに会って愛を知りました
どうか幸せに』
ねぇ、叶うならば
あと少しだけ抱きしめて
もう溶けやしないから
このままで
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息苦しくて目が覚めた
首にもこもこ
マフラーなんてしてたかな?
目線だけ下に動かし確認
ふるふる震える黒い子猫
わざわざ退かしてしまうのも勿体無い気がして
そのまま目を瞑った
小さな命がこんなにも暖かい
眠れない夜は
君のおかげで怖くなくなったよ