詩人:大示 | [投票][編集] |
私は操り人形
糸は有刺鉄線
繰るのは誰?
こんな様子ではあなたも私も傷だらけ
糸を変えましょう
せめて毛糸に
ほら
とても柔らかい
だんだん朽ちてきましたね
次は思いきって
蜘蛛の糸にしてみませんか
おや
気づきましたか?
私の思惑に
ええ、もう、うんざりなのですよ
あなたに操られるのは!
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ふと気づいたら
大きな箱の中にいた
周りを見渡すと
たくさんの自分
同じ服
同じ笑顔
同じ動作
名前を呼ばれたので
ここから出ようとしたけれども出口がない
コトンと音がした
上を見上げるとクレーンが下がってくる
それは自分ではない自分を捕らえ
何処かに放り投げた
・・・・・・
もう少しここにいようかな
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僕に似ている奴がいる
いろんな色が着いた厚みのある奴
しかもお喋り
夜になったら出掛けてやる
いつも引きずられているんだから
たまにはいいだろう
暗い夜道
出番無いようだから
出掛けようとした時
珍しく話しかけてきた
だから応えてやった
『居ますが週休二日希望します』
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光溢れる中
僕の連れ合いは
僕の真似をしながら無言でついてくる
生まれた時から一緒にいる君はずっと君のまま?
それとも
時々、疲れて誰かと交代してたりして
月明かりもなく
電灯もない夜道
ふと振り返りたずねる
『君は今そこにいますか』
詩人:大示 | [投票][編集] |
至福の香り
いろんな物に残り香が
優しく甘い
独特のその匂い
あの人に振りかけたら
雰囲気も変わるかな
人の目を盗み
こっそり舐めた
百年の恋も冷めるような
手厳しい味だった
匂いだけごちそうさま
詩人:大示 | [投票][編集] |
透明な容器のなか
ゆるゆると揺れている
小さな小さな人魚姫
失った恋は
パチンと弾け
あなたは泡に
儚い恋と
それに囚われた姫
ユルリと混ぜて
一口飲んだら涙の味
少し切なくなった
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大きな、ぬいぐるみ
それがこちらにやってくる
少しクッタリとした姿に
同情し苦笑い
『お気に入りってのも疲れるものですね』
目が×印になっている
限界が近いかな
いや、元からか
ぬいぐるみの後ろの小さな君に手招き
「抱っこしてあげる」
詩人:大示 | [投票][編集] |
砂時計の中に閉じ込められ声は外にとどかない
砂が降ってくる
天の砂が果てるまで
誰も動かさないで
このまま蓋を押し上げて
早く外に出たいんだ
砂まみれの情けない姿
君は「変わらないね」と
笑うだろうか