止みそうで止まない小雨は降り続く。いつもの帰り道。君の笑顔を思い出す。まるで人目を避けるように紫華鬘の花が咲いている。僕と陰とを眺めながら。傘もささずに歩く道。最後に見た君は泣いていた。紫華鬘は僕に優しく微笑むように咲いている。この花のように強くあろうと、心密かに誓いを立てて。今はまだ空と同じように、泣いてみる。
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