詩人:百年草 | [投票][編集] |
はじめて 詠うから
耳を寄せてよ
窓の外の
真夏の声に
負けちゃうから
静かに
きみだけに
届くように
詠いたいから
ずっと
本達だけが聴いていた
小さく か細い
踊る あわい ことだま
しめきったこの部屋から
零れるはずのない
この歌が
いつも窓越しに
走る姿が
キラリと眩しいきみに
ヒカリとなって
降り注ぐから
はじめて 詠うから
上手くいかないかもしれない
あの窓に
うろこ雲が見えたら
詠を 届けられなくなる
詠わなかった
後悔を もうしたくないから
きみが向日葵と夕陽と
歩いてくる
いつもの道を
深呼吸して
深呼吸して
ゆっくり開けた瞳に
きみが 映ったら
はじめて 詠うから
耳を 寄せてよ