雲ひとつない青空の下


風が吹いた



髪がなびく。




この風に身をゆだね



どこまでも飛んでいってしまいたい




そう思った。




知らない町へ今、飛び出したい。

逃げんじゃないよ。


ちゃんと向き合いなさいよ。



なんでアンタはいつも逃げんのよ。




いい加減、逃げるのはもうやめにしなよ。





逃げてたら、掴めるもんも掴めなくなるよ。






行け！　根性なし！　　前に進め。

みんなで過ごした教室


みんなで駆けずり回ったグラウンド


みんなで歌った体育館


空を見上げたベランダ



学校中僕らの思い出でいっぱいで




「あぁ、もう卒業かぁ」



そう考えたら、やけに寂しくて。




涙が止まらなかった。

胸がいっぱいで張り裂けそう。



アリさんが入る隙間もないくらいに




僕の胸は君でいっぱいで





溢れたらどうしてくれるんですか！？

おとぎ話のお姫様になるんだったら、


『眠れる森の美女』になりたい。



ずっと夢見ていたい。



今この時から逃げたい。

ねぇ、あの頃の僕らは幼すぎたのかな？



まだ、人を愛することをわかってなっかたのかな？



今ならわかるのかな？




あの頃僕らはなんにもわかってなかったのかな？

帰り道。


急な坂を

ブレーキを一度も掛けずに下った。


風が僕を包み、どこまでも行けるような気がした。



冷たいはずの風が妙に気持ちよかった。

疲れて　眠たくて　辛くて


でも


僕にはやらなきゃいけないことがあって。



「あぁ、頑張らなきゃ」

フリフリの服着て


可愛くお化粧して


猫かぶって



苦しくないの君？

たった一球。


それが勝負を決めることもある。