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尻尾まであんこが詰まってるたい焼きの部屋


[119] 夏の魔物
詩人:尻尾まであんこが詰まってるたい焼き [投票][編集]


開けた網戸から視線を
遠くに移ろわせれば
聞いたことのあるような
見たことあるような
顔したあいつの足音のメロディ

夏の魔物が笑う八月の
天高く続く永遠の青に
手を伸ばそうとした若者のすべて

涙も笑顔も今にして思えば
冗談みたいに過ぎた年月で
夢も希望もないような
六畳一間の宇宙人

夏の魔物が泣いた九月の
残り香のような残暑に
命からがら日陰に逃げた昼下がり

風鈴を仕舞うタイミングを
知らないために
窓辺に吊るした風鈴は
結局夏が終わっても
涼を奏でた

夏の魔物が笑う八月の
天高く続く永遠の青に
手を伸ばそうとした若者のすべて

涙も笑顔も今にして思えば
冗談みたいに過ぎた年月で
夢も希望もないような
六畳一間の宇宙人

魔物めいた暑さの中にも
網戸越しの夕暮れに
頬まで赤く染められて
言葉もないまま赤く染まった
頬のまま緩んだ口が直らない。







2018/08/11 (Sat)

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