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カタリナの部屋


[66] 美談
詩人:カタリナ [投票][編集]


ゴロゴロ様が
ヘソを寄越せと云うもので
ただではやれぬとしぶったら
雨を降らしてきやがった
なんともいい性格してやがる

昔話をひもとけば
鬼はいつも悪者で
それをあわれに思ったが、
姿かたちの醜さに
さすがの聖人君子も耐えかねて
抜いた刀を鞘に納めることができなくて
ずばっと鬼を真っ二つ

あわれ鬼は退治され
悪者と決めつけられてしまう
昔話の粗末さに
それこそ昔から反吐が出る

祖母の聞かせる絵本には
夢もロマンも感じずに
愛想の内に聞き流す
夢とうつつの境には
線も壁もないものだから

いつしか大人になった僕は
なにかが足らない気がして
それでもその何かの正体は
まだわからないまま今に至る。









2018/07/11 (Wed)

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