詩人:瀬戸 結城 | [投票][編集] |
僕が君に気付いたとき
僕の目は光を失っていた。
僕が君を見ることが出来なくなったとき
僕は両腕を失っていた。
僕が君に触れられなくなったとき
僕は声を失っていた。
僕が君の名を呼べなくなったとき
僕は音を失っていた。
僕が君の声を聞けなくなったとき
僕は両足を失っていた。
“僕”が“僕”を失ったことに気付いたとき。
僕は全てを失っていた。
君の声を聞くことも、
君の姿を見ることも、
君に触れる事さえ、もう叶わない。
僕を失った僕から、君まで奪わないで
それを僕に気付かせないで
もう、解かりたくないんだ。
「君を、失った。」
それは嘘ではなく本当で。
でもそれを受け入れられるほど、
僕にはもう残っていない。
お願いだから
お願いだから
お願い、だから
どうか夢なら、覚めて。