ホーム > 詩人の部屋 > 瀬戸 結城の部屋 > 夢であって、ほしい。

瀬戸 結城の部屋


[1] 夢であって、ほしい。
詩人:瀬戸 結城 [投票][編集]

僕が君に気付いたとき

僕の目は光を失っていた。


僕が君を見ることが出来なくなったとき

僕は両腕を失っていた。


僕が君に触れられなくなったとき

僕は声を失っていた。


僕が君の名を呼べなくなったとき

僕は音を失っていた。


僕が君の声を聞けなくなったとき

僕は両足を失っていた。




“僕”が“僕”を失ったことに気付いたとき。


僕は全てを失っていた。




君の声を聞くことも、

君の姿を見ることも、


君に触れる事さえ、もう叶わない。



僕を失った僕から、君まで奪わないで

それを僕に気付かせないで

もう、解かりたくないんだ。




「君を、失った。」




それは嘘ではなく本当で。

でもそれを受け入れられるほど、

僕にはもう残っていない。





お願いだから

お願いだから




お願い、だから







どうか夢なら、覚めて。


2009/07/11 (Sat)

[前頁] [瀬戸 結城の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -