詩人:旅人モドキ(左利き) | [投票][編集] |
すきとおるのだ
ふしあわせなんてだじゃれをいわれても ちっともこころにひびかないっていうのに
へたにうられたけんかをかって あいのりしてしまったりするから なんでもかえればいいなんてほらが
まかりとおるのだ
てのひらをかえしたかのように うごうのしゅうとかしてすりよれば
かちうまにあやかりたがる いやらしさがすけてみえては うそつきがえらくなるとおもい
しみとおるのだ
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大きくって立派な橋
軽やかに渡って行く人
おれの胸をも突っ切る風
儚さに陶酔し狂っている夜
嘘にまみれて散ってしまう恋
おれの皮膚にじっとり垂れる雨
欠けては現れる満月を匿ったら闇
悩ましい心にそっと射し込むのは光
おれの唇を奪って吸い尽くす妖艶な影
遠ざかる意識の中で膨らんでる妄想の旅
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群れ集う星をそっと抱きすくめれば
遠ざかって行く微かな歌声に きみは耳を澄まして聴きほれる
冬の大三角が頭上でまたたくから
銀河の片隅に浮かべる小舟も揺られ きみの胸が高鳴る鼓動と酔いしれる
波の彼方でぼんやりと見える雲には
巣穴があって幾つもの卵を包み きみも知らない秘密まで封じ込める
宇宙に始まりや終わりなど無いんだ
膨らんでは縮まるのを繰り返して きみと同じく流浪の旅を続ける
転がりそうに旋回する風車に過ぎない
筋道を通している様な理論だけれど きみを縛り付ける疑念が惑わせる
問い掛ける意味とは何だろう
答えを探求してしまう心の不可解さに きみへ届く光と思考力がにらめっこする
究極に磨き抜かれた才能を駆使して
月が粉雪となって砕け散るかのごとき空と きみが明かす物語で夜更かしをする
徒労に感じるほどの時間を費やしっぱなし
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ピエロがまん丸な玉を口から出したよ
そしたら舞台がまっ暗になっちゃった
ぼんやり考えてたら芝居は終わってた
シャボン玉をおれは吹き出してみたよ
だけどシャボンはとってもまずかった
やっぱり甘い風船ガムをふくらました
ガムだってめいっぱい大きくなったよ
なんだか舞台に立ってるつもりだった
だから夢中になって風船を吹き出した
チャイムが鳴ったのも忘れちゃったよ
みんなが下校したと暗くなって知った
おれは舌をぺろっと突き出しおどけた
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雪とペンギンをばかでかい切り株の前で
とある物語の上にかぶせてみる
この状況が不詳なのは作者にも似て
わざと姫さえ言葉で飾り立てる
どうやら千年先までも計算済みで
あえて名を伏せながら筆を執る
その心意気には脱帽してもとまどって
うっかり横に方位磁針を添える
雪とペンギンもばかでかい切り株の前で
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恋をする振り向きざま
きみに初めて 声を掛けられた
教室で弾む ありがとうの一言
きらめく 甘ったるい響きにも
気を許せず ただ警戒をした心
きみの好意を 素直に受ければ
逆転する情まで いとおしくて
きゅんと高鳴るは 胸の鼓動と
刻まれた柔な肌触り その尻尾
振り向きざまにぎゅってする
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水色と空色が交ざろうとしても
なびかず横たわる 群青を見つめたたずむ
岩肌から流木へのパララクスまで
おれは視野の隅で 漂う影なんて意識する
恥はドクにもクスリにもならない
やがて現れ照らす 光源は漁り火だろうか
点滅をゆらりと繰り返す景色こそ
あてどない目標だ 頑なに群青を欲しがる
深いパラドクスを追求して浸れば
おれも夜陰に紛れ 陶酔を吟じずらかろう
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アメがあったかい
徒におれを濡らして 凝った胸の疼きも融けさせる
言い争って離れた 種はきみの呟きな筈だったけど
怒りを育て根を張ったのは 熱を帯びたおれのせい
今はそれぞれの持ち場で 甘ったるい時を待つだけ
想いは同じと信じて 喉の渇きも癒し泡ごと流せる
あったかいアメは
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いつまで綱の引っぱりあいを続ける気なのか
この手につかんでいる綱の役目はそれじゃない
みんなで一緒につないだ思いの宿った綱を握って
いまだ見果てぬ向こう岸へと足を踏み出していける
みぞれが降る日さえ力を惜しまずに綱を強く結ぶから
こじれた仲だって切り離せない綱がって心でつい叫んだ
いたいけな身をも命綱で精いっぱい希望の方へ連れ戻そう
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星砂は流離の涙を 暗鬱な岸頭に鏤め 怠惰で鈍感な耳の 奥底を激烈に襲う
仄白い天の川が零す清水の滴り 海蛇の首が呑み込む繊細な輝き
荒波が砕け散る浜辺を 亡骸は朝な夕な漂着し 悲哀な魂で貪る胸騒ぎ
濃厚な芳香の煙は上昇し 漆黒の夜空を舞う優雅さ 忘却の彼方に願え最果て