詩人:旅人モドキ(左利き) | [投票][編集] |
カフェで落としたはずの忘れ物
青紫色の空が溶かしては散らす
きみを縛るリトマス試験紙なら
黄土色も舞台へ躍りでる具材に
あうんの呼吸で紛れた事態でも
薄墨色へ濁るカップの底は沈黙
ほろ苦さと甘ったるさを混ぜて
山吹色に染まる海ごと渦まけば
きみが思わず拾いあげた余韻へ
滑りこむ猫と焼きたてのピッツァ
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場違いなのではと不安がよぎる
気の早い鯉は 白い湖をも泳ぐ
忙しく尾を振り 溯ろうと進む
漠然と鯨への 憧れを思い出す
凪ぐ滄い海原を 巡って浮かぶ
光景は輝いて 胸を静かに打つ
届かず遠ざかり 鮫の影が閃く
奔放に鮪さえ 貪るに留まらず
人波などへ紛れ込みたいと思う
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みいつけた
にぎわうとおりのよこちょうにあるろじで
げいじゅつさくひんなどてんじするとっぴょうしもないやどやをみいつけた
なかまにかしてもらったほんのとうじょうじんぶつに
いきあたりばったりでなりふりかまわずつっぱしるむこうみずなわかものをみいつけた
おどりくるうじょおうのうたごえが
ひびきわたるはとばからくもまにみえかくれするゆうひをみいつけた
おまけにたいりんのはながぱっとほころぶつきよも
みいつけた みいつけたっ
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めいっぱい漕ぐんだ
荒波が砕け散る沖へと がむしゃらに突入するんだ
狂おしい潮騒に酔っては うねりへ身を焦がすんだ
容赦なく打ちつける激浪に しつこく玩ばれるんだ
水を差すのは故意だって つれない態度で示すんだ
脈絡の無い賭けでさえ しがみつく刹那に潤うんだ
いうなれば渡りに船なんだ
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心の回帰線まで浮かべ
夏の足音が聞こえたのならば手を思いっきりたたけ
島の雰囲気に酔いしれながら腹を抱えて笑え
金の環っかが雲隠れしたって胸を弾ませたたずめ
声の限りに絶叫すれば浜辺へ顔を向けずに泳げ
身の程知らずな意地っ張りも頭を狂わせて図に乗れ
歯車をけたたましく鳴らせ
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やがて水瓶はすっからかん 放浪者に映る優雅な蜃気楼にも捨てられ
いつしか海岸から遠ざかり 憂鬱やら砂丘やらに追いやられる心さえ
途方もない古代絹街道へと その胸いっぱいに膨らむ地球への憧れを
なぜか星空と孤独に包まれ ゆらりゆらりと漂いたゆたっていようと
逆風の吹き寄せる青空ごと するりするりと波紋を搔き分ける大船と
樽は葡萄酒の新酒で満たし かの明星が辿る軌跡など追って進もうと
からからに乾いた荒野さえ 駱駝はゆったりとした歩みで通り過ぎる
花園など少しも見当たらず 地図や磁針も持たずして何を目指すのか
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脱獄囚などパンでも食らえ
切り刻まれた紙クズに紛れ
当たりクジが交ざる衝撃で
拾い集めてはハットに隠せ
凶暴さをナイフで取り除け
投げ遣りな歩幅はザツだね
月と戯れるヨットを浮かべ
潮騒のリズムに乗っかって
寝ボケながらも行間を読め
人なつこいカップの味見前
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やかましい
生ける坩堝ら
らち明かず
図に乗りやけに
煮えたぎる壺
ぼんやりと
問いが浮かんで
でたら目か
風と舞い込み
実のある答え
えぐられて
手でかっぱらう
うめく玻璃
栗鼠がかじれば
場も搔き鳴らす
すばしこく
句切る地を駆け
け散らかせ
急いてひねる戸
研ぎ澄ます意志
詩人の部屋
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あい色の かぜは吹いてく
芳しく香る バジルを おれが味わう
新たなる つきへ巡らす
あめを受ける パラソルで 朝も待つ
騒ぎ立てる なついて揺らぐ
波が打ち寄せる リアルかな 浜で気をもむ
あったまらず 恋い焦がれてる
冷めてる ポットでも きみの熱に沸く
笑い合える 世界は抗えぬ
あやまる タイミングを 見すごす
漂わせてる 髪が舞う
恥ずかしがる センスは 今くるむ
あい色の かぜを引いてく
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愚にもつかぬ者 権力の狗どもめ
転ばぬ先の杖と 言葉巧みに騙る
融通きかぬ頭で 振り翳す虎の巻
全く馬が合わぬ 浪費する苛立ち
譲らぬ頑固さは 猜疑の塊と化す
理解せぬ狭量さ 食い違う言い分
倦怠をも拭えぬ 邪魔くさい横槍
恐れぬ烏ならば 血眼で突き進め
猛獣に怯まぬ力 強かに克服する
集中し切らさぬ 心を籠める表現
機を逃さぬ才能 流れを乗り熟す
迷わぬ公私まで 両天秤に掛ける
呪縛も苦にせぬ 練り上げる構想
意に介せぬ変化 手放す思い込み
馴染めぬ環境で 覚えるは異和感
鎖に囚われぬと 執着を解き放つ
避けられぬ崩壊 不安に襲われる
開けぬ展望でも 漁り歩く羅針盤
断ち切れぬ惑い 曖昧に頷くのみ
無邪気に為れぬ 満足できない時
蘇らぬ多生の縁 棺桶に唾を吐く
鴉ならば畏れぬ 尖り完璧なる牙