詩人:旅人モドキ(左利き) | [投票][編集] |
吹き飛ばされんじゃねえよ
鉱脈に突き当たらんだと まったく知ったこっちゃないぞ
妄想ってやつは無尽蔵だろ
掘り出すまでは大変でも そっから先は宝石が山になんの
丁寧に並べてみりゃきっと
奇抜な展開図が現れるぞ なんとか立体を起こしたいけど
力を貸してほしがってんの
絶対にだなんて空約束を うっかり青写真に書き加えんなよ
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おれも歩む
かの民が踏み出したという大いなる旅路を
いかに険しくとも野営しては進むという決意を
そこに待ち受けるであろう困難という糧を
みちを歩む
どれほど敷居が高くとも思い切りまたぐという覇気を
きっと芽生えるであろう友情という響きの歌声を
こだまする舞台という魔物とも精いっぱい釣り合わせる心を
きみと歩む
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ちょいと旅してる時にさ
海ぞいから山へと まっすぐに貫く道など出くわすと
その先には何があるのかを
確かめたくって とことん歩いてみたい気がしたりする
おれの癖って奴かもしれない
川をさかのぼる様に そういえば魚って味のある面だよな
やけに陰りのない死に顔だから
心が傷まない この点だけでも好ましく感じるけど果たして
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その絵葉書は太すぎる頸枷を贈ると告げて
ぐにゃりと折り畳めるほどに柔軟性があり
ありとあらゆる色彩に包まれた樹脂だけに
おれの頸すじを絞めつけようと狙っている
もろく狂わしい心を認めて受けいれてくれ
どうしようも無く幼稚で儚い希望をもって
まぶしい朝の光が椿を明るく照らすけれど
おぼろげに包む夕焼けへおれは唾を吐いて
たとえきみ以外の人に縛り具合のより固い
きらびやかな頸枷がおれへと贈られようと
ちっともおれの望みは揺るぐ事なくきみを
いわば胡桃さえ割る覚悟で身ぐるみ攫おう
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てんき雨はそっけなく止んでしまう
おれといえば寝そべりながら いびつな金平糖などかじっては
こっそりと満ちてゆく潮のせいで にげ道をどうやら窒がれる
てんき雨がやめば てんき雨がやめば
まるで括弧のつかない感傷さえ なま温い掌で転がしてみたり
いわば黒みつから零れて きみへの想いまで白ざとうをまぶす
あまい金平糖もあっけなく欠いては
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愚にもつかぬ者 権力の狗どもめ
転ばぬ先の杖と 言葉巧みに騙る
融通きかぬ頭で 振り翳す虎の巻
全く馬が合わぬ 浪費する苛立ち
譲らぬ頑固さは 猜疑の塊と化す
理解せぬ狭量さ 食い違う言い分
倦怠をも拭えぬ 邪魔くさい横槍
恐れぬ烏ならば 血眼で突き進め
猛獣に怯まぬ力 強かに克服する
集中し切らさぬ 心を籠める表現
機を逃さぬ才能 流れを乗り熟す
迷わぬ公私まで 両天秤に掛ける
呪縛も苦にせぬ 練り上げる構想
意に介せぬ変化 手放す思い込み
馴染めぬ環境で 覚えるは異和感
鎖に囚われぬと 執着を解き放つ
避けられぬ崩壊 不安に襲われる
開けぬ展望でも 漁り歩く羅針盤
断ち切れぬ惑い 曖昧に頷くのみ
無邪気に為れぬ 満足できない時
蘇らぬ多生の縁 棺桶に唾を吐く
鴉ならば畏れぬ 尖り完璧なる牙
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あい色の かぜは吹いてく
芳しく香る バジルを おれが味わう
新たなる つきへ巡らす
あめを受ける パラソルで 朝も待つ
騒ぎ立てる なついて揺らぐ
波が打ち寄せる リアルかな 浜で気をもむ
あったまらず 恋い焦がれてる
冷めてる ポットでも きみの熱に沸く
笑い合える 世界は抗えぬ
あやまる タイミングを 見すごす
漂わせてる 髪が舞う
恥ずかしがる センスは 今くるむ
あい色の かぜを引いてく
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やかましい
生ける坩堝ら
らち明かず
図に乗りやけに
煮えたぎる壺
ぼんやりと
問いが浮かんで
でたら目か
風と舞い込み
実のある答え
えぐられて
手でかっぱらう
うめく玻璃
栗鼠がかじれば
場も搔き鳴らす
すばしこく
句切る地を駆け
け散らかせ
急いてひねる戸
研ぎ澄ます意志
詩人の部屋
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脱獄囚などパンでも食らえ
切り刻まれた紙クズに紛れ
当たりクジが交ざる衝撃で
拾い集めてはハットに隠せ
凶暴さをナイフで取り除け
投げ遣りな歩幅はザツだね
月と戯れるヨットを浮かべ
潮騒のリズムに乗っかって
寝ボケながらも行間を読め
人なつこいカップの味見前
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やがて水瓶はすっからかん 放浪者に映る優雅な蜃気楼にも捨てられ
いつしか海岸から遠ざかり 憂鬱やら砂丘やらに追いやられる心さえ
途方もない古代絹街道へと その胸いっぱいに膨らむ地球への憧れを
なぜか星空と孤独に包まれ ゆらりゆらりと漂いたゆたっていようと
逆風の吹き寄せる青空ごと するりするりと波紋を搔き分ける大船と
樽は葡萄酒の新酒で満たし かの明星が辿る軌跡など追って進もうと
からからに乾いた荒野さえ 駱駝はゆったりとした歩みで通り過ぎる
花園など少しも見当たらず 地図や磁針も持たずして何を目指すのか