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旅人モドキ(左利き)の部屋


[13] #0013
詩人:旅人モドキ(左利き) [投票][編集]

濃厚なココアにも似た
どす黒い空に覆われ ひたすら足を運ぶきみ
脳裏をよぎるのは怠惰な光景だ
広場を埋めつくす群衆は だれもが仰向けで微笑を浮かべつつ
何かをかみ砕く
息苦しさに耐えられず 立ち去ることを選ぶ
ふと気づけば卵の群れが空中を泳ぎ
すこし離れた場所で 子供たちが口をポカンと開けて見上げるが
きみは構わず先へと進む
行く手に現れた森から かすかに聞こえるのは犬の遠ぼえか
樹海に足を踏みいれ
周りを見渡すが気配さえも無い いつの間にか地面が消えていて
宙ぶらりんで木のあいだを抜ける
やがて前方から光が射して視界をさえぎるが 疲れ果てるまで歩く
しだいに明るさは弱まり
きみは坂を下っていると知る 道の先には見覚えのある広場があって
近づくと人影は無く
辺りには割れた卵が散乱する きみは微笑みながら倒れこみ
背中をそっと着地させた

2008/11/16 (Sun)

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