詩人:アルバトロス | [投票][編集] |
夜の星が遠くなっていく
何もなかったのだろうか
でも忘れることなんてない
そうして明日も生きていく
思い出に見つからないように
僕は息を潜めている
彼はいなくなったのに
彼の声が耳元で聞こえる
一瞬のことだったのかもしれない
長いインテルメッツォの休符を数えながら
あの日見た夢が許してくれたら
君にそっと微笑んでほしい
あの日はいつも背後にいる
僕はいつも怯えている
そう忘れることなんてない
そうして明日も生きていく
あの日見た夢が許してくれたら
僕は君に夢を語りたい
あの日見た夢が許してくれたら
僕は君のために生きていく
彼は何て言うだろう
勝手に想像してみるしかないよね
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あのとき君に なんて言ったっけ?
覚えてないや 楽しい響きだけが甦る
こんにちは 元気ですか?
僕はそこまで 悪くないかなって日常
会えない夜を 会いたい声が
埋め尽くして 眠りにつく
明日の君に なんて言うんだろう
分からないや 明るい色で空を描く
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頭の中 水平にして
夢の中 無呼吸で
悲しみが全て涙になるなんて大間違いだ
生きろと言われて
怖くなる僕はきっと臆病者だから
誰よりも優しい顔して
精一杯笑ってみるんだよ
未来にまた 蓋をして
日々はまた 空っぽで
悲しみを全て涙にするなんて大嫌いだ
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寝不足 コーラを口に含んで
主に雑草が生えた原っぱにて
不機嫌 1分間に7回のまばたきをして
リズミカルに体を揺らす
右手は頭上に 左手は自由
できれば両足の脛毛は剃っておく
そうしたら空も飛べるはず
くそくらえな日常に蹴りをつけて
高く高く舞い上がれ
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何者
オマエは
どうしてそんなに
笑っていられる
どうしてそんなに
他人事でいられる
聞け
オレはオマエの話をしている
オレがオマエに?
何者
オレはオマエ
でもオマエはオレじゃない
そんなはずない
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君の寂しさを埋める役を演じてみたよ
君のぽっかり空いた穴をふさぐ
絆創膏のような そんな役を
ちゃんと演じられていたかな
やっぱり今回も自信がないや
だから報酬はいらないよ
今日はゆっくりお風呂に入ろう
化粧を落として
どこまでが化粧なのか
もうわからなくなったけれど
その繰り返しが人生なのだよ
と、他人事のように言ってみる
部屋の隅には脱け殻の自分が、ひとつ
しわくちゃになって、ひとつ
安心して
それは私じゃないから
と、他人事のように言ってみる
私の傷をふさぐ役は
誰が演じてくれるのだろう
そうだ
傷は脱け殻にあって
私にはないのだった
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私が死んだら誰が困るかな
誰が悲しいのかな
それは想像
いつまで経っても想像でしかない
あなたは困るかな
あなたは悲しいのかな
私はね
私が死んでも困らない
当たり前だね
死にたいわけじゃないよ
自分が死ぬことなんて
考えたって仕方がないから
ただ生きる
思いっきり生きるの
でも気になる
あなたは困るかな
あなたは悲しいのかなって
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僕は今
悲しいのだけれど
それは瞬間を切り取っただけで
仕事には行かなくちゃいけないし
ご飯も食べなきゃいけないし
歯も磨かなきゃいけない
悲しいと思うことを
バカらしいとは思わないけれど
悲しいと思うことに
支配されるのは癪だなとは思う
別に後ろ向きでも良いじゃない
この瞬間に留まることはできないのだから
悲しい、は続かないのだから
塗装の剥げた道路を
空き缶がコロコロと転がっていく
からんからんと
寂しそうな音を立てて
誰にも見向きされずに
空き缶はどこへ行くのだろうね
秋の冷たい風に吹かれて
僕はどこへ行くのだろうね
気がつくと空き缶は見えなくなっていた