ホーム > 詩人の部屋 > 山姫の部屋 > M-5 砂漠のサボテン

山姫の部屋


[155] M-5 砂漠のサボテン
詩人:山姫 [投票][編集]

誰も棲めない荒野に根を下ろし
誰も耐えられない孤独の中で高らかに歌う

俺は孤高のサボテン

この世界はとがった強いやつしか生きていけない
そう思ってきた
だから俺は強いと思って生きてきた


夜にしか現れないあいつは違った
ひょろっと貧相なのに青白くとがってやがる
まんまるなのに堂々とした黄金色してやがる

「こんばんは。いい夜ですね」
こんなとこには似合わない弱い光なんか放ちやがる


お前は俺が怖くないのか?
硬くとがった俺が怖くないのか?

「そんな事はありません。あなたはそうやって自分を守ってきたのでしょう」




不覚にも涙が溢れた
強がってとがって生きようとしてきた事
寂しさを紛らわそうと一人で夜な夜な歌っていた事

あいつは全て受け入れて見守っててくれたんだ

天上に輝く優しいMoon


「弱さ」って強さがわかった今の俺なら
咲かせる事が出来るかな

あの時のお前に似た強く優しい白い花を

2011/02/17 (Thu)

前頁] [山姫の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -