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フィリップの部屋


[326] リバー通りの深夜行
詩人:フィリップ [投票][編集]

夜が更けて
バイトを終えて
しばらくして
国道180号沿いの
すき家を出る
街灯がぼんやりと目にしみる
さっき飲んだウーロン茶が
体から抜け出たような気がした


自宅近くのリバー通りを散歩した
ケータイから流れ出る
音質の悪い音楽が耳をつんざく
それでも何も無いよりはマシだったりして
そのくせ
君の体温を肌に欲しがったりして
なんてな


好きだよ、なんて
頭の中で記憶をリピートしたりして
気がつけば
同じコースを三周していた
四周しようが
五周しようが
好きだよ、なんて言葉は
もう君の声じゃない
この記憶の声は
僕のもの
変質者って
意外にロマンチストなんだな
とか思ったりして
なんてな


街灯の下で
深夜行をやめる

リバー通りの
川のせせらぎが
急に怖くなる
気配を感じて
振り返ったら
やっぱり誰もいなかったりして
それで
安心しきって
家路についたりして
なんてな
なんてな

2008/09/04 (Thu)

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