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フィリップの部屋


[350] こころのうた または、美しいもの
詩人:フィリップ [投票][得票][編集]

人のこころを写したものが
あなたの瞳を通して
あなたの中に入ったとき
それは
どんな香りを発するのだろう

言葉を通して
あなたに伝えたものは
記号ではなくて
わたし、じしん
風が花粉を運ぶように
いのちがいのちを紡ぐように
流れる水のような軟らかさと優しさだけが
わたしとあなたの手と手を繋ぐ

生まれ来る世界の為に
また明日、一日分だけ愛を知る者たちの為に
誰かが
何かをささやき
形を変えて
時を越えて
まだ見ぬ他の誰かが言葉の産声を聴いている

そうしていつか
わたしは
あなたのためのうたに生まれ変わる

やがてあるとき
あなたが
誰かのためにそれを口ずさむのかもしれない

2011/09/05 (Mon)

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