詩人:是清。 | [投票][編集] |
溢してしまつた密度の高い液体
壊してしまつた器
誰も重さを感じやうとしなかつた夜・夜の重み
夜の重みで擦れる足・あし
誰も揺り動かさない朝・眩しいひかり
朝の重みで幸福になる手・指
夜と夜の境界線上に君は僕を呼ぶよ走つて行くよ
冷たい無機質な隔たり其の内側でほんの少しだけ
息を吐き出して距離を詰めて君を追い詰めるよ
明け方と謂ふ名の密室で僕は君を裸体にして尋問を始めるよ朝何て結局僕と君を引き離す為の口実でしかない誰も僕と君を見た人は視る人は居ないよだから君の分も他人の分も僕は君を見て其の姿を此の汚れた眼に焼き付けたいと思つて居るんだ切実に願つて居るんだ
貪欲な月さえも此処からは視得ない。