とつぷり更けた闇の闇
灯りの灯る玄関は/数える程で御座居ます
冷たい足で宵に漕ぎ出す
余り風情と謂はれるものには
却つて艶が無いと云ひます
最低限の光源で/私は貴方を捜し当てます
宜しいでせうか?
役立たずの楽器弾きには
暗いお部屋が似合ひです
貴方は彼を罵ります/「此の鰯頭!」
お上品な貴方には/精一杯の罵倒の言葉
腐つて汚れた木の床に/貴方は這い付く張るのです
腕を無くした音楽家には/大した事は出来ないけれど
君が眠つてしまふ迄
静かに目蓋を閉ぢる迄
喉が潰れてしまふ迄
唄つて 居ませう子守歌。
2004/04/27 (Tue)