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甘味亭 真朱麻呂の部屋  〜 新着順表示 〜


[1941] 物言わぬ植物I
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


想像という名の舞台の上でしという幕切れまで踊り尽くす

ふたりだけのくるった愛のワルツは続く
今日も明日もふたりだけの世界の中で
彼女だけの世界の中で彼女だけしかいないように思えても哀れむような目を気にすることもなく後目に彼女は楽しそうにくるったように笑うだけなんだ
笑うだけなんだ愛する人と踊れる楽しみを孤独からやっと解放されたと絶大なる勘違いをしてそれに気付もせずに
気付きもせずに
ただ彼女は踊ってる
今日も明日も
僕からいえばそんな人はいないのに愛する人とステップを踏んでるんだと彼女は楽しそうに笑い僕にいう
くるったような目でいつも楽しそうに笑いながら
永遠に幸せな人なのかむなしい人なのかわからない僕はただただわけもわからず立ち尽くすばかりだった……
彼女の異常なまでの想像の前にただただ口を開け唖然とし
終始、
冷然とするのみだった
冷然としざるを負えなかったから
冷然とするしかなかったんだ
ただただ冷然と…冷然とするしかなかったんだよ。

2007/12/25 (Tue)

[1940] 物言わぬ植物H
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


心に枷をはめる。偽りという永遠に外せぬ永遠の枷を
そんな日々を暮らしてくのだ
いつまでも
命終わらしめる日までしぬまで ずっと
うそをつき続ける
それが愛であると簡潔に導き一度そうだといってしまうのならば彼女の中でのそれは紛れもない真実なのだから
疑う余地などどこにもありはせず
誰も疑えず嘘だとは言えないのだろう
よしんば嘘だと想ったとしても
それは彼女の中では絶対的な真実であるのだから
誰も文句は言えず彼女を止めることはできないから
彼女の中での物語は続いていくのだろう
くるおしいほどに
彼女のゆがみすぎた愛は形をなしてここに紛れもない形として在り これからも在り続ける

悪夢のような幻想が終わらない限り彼女自信の手でもって終わらせでもしない限りずっと永遠に命終わりになっても続く
後生になっても
永遠の愛
悪夢のような
黒い真実として
在り 在り続けるんだ
この人間のように誘い出すようなふらちさで腰をくねらせ甘い言葉をささやき言葉じゃないふたりにしかわからぬ何かで愛し合う"ふたり"の世界の中でそれは続く
ずっとずっと続くんだ

彼女の頭の中だけで続く物語として
彼女の儚く恐ろしき妄想の巣の中で

続いていくのだろう

彼女の想像の中だけで続く物語は ずっと

続いていくのだろう

儚くおどろおどろしいメロディと歌声でうたう地獄の業火のような暑すぎる愛で祝杯を交わす席に流れるその生け贄を喰らいしたたる赤色と同じほどの銘柄のないしぼりたてのワインとくるい鳴る賛美歌のような
そんなレクイエムをはらみながら
流れ続ける
ふたりの時間はもはや帝王に約束された永遠であって地獄の舞踏会でくるい踊る
それはワルツのように
ふたりは流れていく
ともに踊るように
くるったように過ぎていく人生を踊りながらくるい笑う
終わらない

2007/12/25 (Tue)

[1939] 物言わぬ植物G
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


時の裏側までも
ずっと ずっと
いつまでも
きっと ずっと
続いていくのだろう
ふたりの、
物言わぬ植物という概念ではない父親という概念が当然の形として彼女の中にありそのような眼差しでいつまでも変わらなく見つめている
そして物言わぬ植物は物言わぬ植物としての生涯を彼女の話し相手やうっぷんの吐き場所ではない生涯として彼女の実の父親としての生涯の中で彼女の本当の父親であるか否かを想像させない不変の愛情がいつの間にか彼女の心に灯っていたのであろうかなと私自身としは自分勝手な考えにのっとり
想ったのだ。

彼女の想像の中だけで続く物語。物言わぬ植物へ
物言わぬ植物
物言わぬ植物
君は何も言わない
君は何も喋らない
物言わぬ植物は
物言わぬ植物は
物言わぬ植物は
只の木であるから
只の木なのだから
喋る筈もないけれど
あなたがたとえば何かの魔法で植物に変えられてしまった人間であるならば
私はあなたをそうなんだと思いこむことにします
思いこむことで自分の傷みや哀しみを背負いきいてくれる
吐き出し場所にさせてもらいます
このつらく重い孤独感を紛らすためだけに
そしていつからかこんな愛情をもったあなたは今ではもう人間以上の光を放つ私の大好きなお気に入りの物言わぬ植物じゃなく『無口なだけの人間』に私の中でいつからか変わったのだから
すり寄せた頬と
あつい私の火照りは愛の形というならそれは違うモノかもしれない
だが私はあなたを愛し普通の人間となんら変わらないひとりの男性として恋(こ)い慕(した)い寄り添い付き合います……それが愛
それが私たちの愛の形
愛の真実
そう信じて疑わないだけの純粋さという名前だけの仮面を身につけたまま
これは愛だ
これは恋なんだと
ただ子供じみた幼すぎるだだをこねる
こねて心にうそをつき続け

2007/12/25 (Tue)

[1938] 物言わぬ植物F
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


私はつぶやいてまたくるねと遠く駆けだし手を振る
たった一人のいや他人から見れば一本のカエデでしかないが彼女にとっては紛れもない父親であるカエデに手を振り
その次の日もその次の日も彼女はきてはカエデと話をした
カエデはもう自分は先も短く老いぼれだから君が大人になって結婚するときまで生きられないねとでもならば『今この時』を噛みしめたいとカエデもしっかり噛みしめようと想いながら彼女の晴れ姿をぼんやりした植物の意識で想像しながらずっと変わらない今までより一番やさしくそして大きな笑顔で彼女(優子)に満面の笑みを返した
そんなある春のころ
そういえばカエデ(父親)と別れたあのよく晴れた春の日も今頃だったなと本当は意識のないただのカエデの木だと知っていても彼女はカエデ(父親)の返事を頭の中で自分なりに想像しながらまた他愛もない一人二役で話をし始める
周りになにを思われるのかなどみじんも気にもせずに
次の日も次の暑い夏の季節に変わっても
二十歳になっても
やさしい子の優子はここにきては話しをする 話などいつも二役といっても自分ひとり
だけれど優子は話を続けた たとえ優子はカエデが話をしてくれなくて口を利けないとしても
それでもよかった
そんなことはどうでもよかった
ただカエデの側にいれればそれでよかったと優子は時々現実のあまりの夢のなさにため息をつき暗い影を心に落とすが
それでも話すときだけは元気を分けてもらってるとでもいうようにここにくれば不思議と勇気を持て元気もなれる。そんな不思議なふたりの本当の悲しくそれでもやさしい暖かい人間の本当の温度を感じれる彼女にとってのつまらない現実から解放される唯一の場所でもあるこの場所で夢物語はここで始まりそして続いているのだろう
明日からもその先へ
ずっと ずっと
きっと いつまでも
いつまでも
私が知らないところまで

2007/12/25 (Tue)

[1937] 物言わぬ植物E
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


まだかなあと…まだなのかなあと
僕はわざとじゃない
純粋なだけの気持ちをもって風にたずねる
その瞳はそういつかの…いや今もそうであるカエデのやさしく純粋なまでに輝くこのカエデのようで…
お互いにどこか似たもの同士の私たちは波長が合い
大人になっても話し合った
カエデさん、カエデさん
今日はなんの本を読んでると思う…?
なーんて純粋なはずの心がいつからか常識だらけのつまらない現実を知り夢やあったらなという奇跡のような考えを自分の中で論破したとしても私はしきりに話しその話はやめない。私はあなたと話したいのだから最初から話せるか話せないかなどどうでもいいのだ。ただあなたという父親と話がしたかったからであって。一度もあの日から話をしたこともないからその声も知らなくて見たことすらなかったあなたの姿がはじめて記憶にあったのと同じだとすればあなたが父親で私はそんなあなたを父親だと信じたいだけなの。あなたのことだけは忘れない そしてあの記憶には残念なことにひどくおぼろげな、でもそんなお母さんだとしてもね
見放さない
私はあなた達の子供なんだから当たり前だとも譲り受けたやさしさを抱きしめていく いつまでも変わらぬそのやさしさを持ち続けてと父親はつぶやいてくれるから 今も忙しい足でも行く度につぶやいてくれるから
ちっとも寂しくないの
父親は居るからね
いつでもこの場所に
居るからね
父親は居るからね
どんなに悪い罪をおかした人だとしても父親は父親だからね
それだけは変わらないからねと

2007/12/25 (Tue)

[1936] 物言わぬ植物D
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


見つめるのはいつでも二度とは返れない日々じゃなく
これから始まっていく新しい日々の方だというように
大切なのは限りある命を悲しむことじゃなく限りある命だからこそ輝いて尊いモノなんだということで数限られた毎日をどうこれから生きていくかということを楽しみながら考えることだと思う。いつも先ばかりを考え終わることばかりを考え絶望に膝を抱え心を痛ませていたり打ちひしがれるのじゃなく大事なのは今日の今この時明日の今この時というように終わりまでは幾度重ねる『今この時』を精いっぱい力の限り目いっぱい名残のないように生きることだとも思う。そしてもしも受け入れることが難しいのならばそれは楽しめない理由があるから
楽しめるようになるためにはきっと自分が楽しめるような何かを探すことから始まるんだから探すことがやはり大事なんだろう
きっとそんなモノだろう人生という中での上手な生き方は…
そしてそういう生き方ができてる人こそがうまい人生を生きている人だとも思うんだ。

限りある人生は思いこんでいることよりもずっとずっと素晴らしいことだと
尊く美しいモノなんだと物言わぬ植物は僕にその命をもって教えてくれたんだとも考える。僕はそう自分なりに思うから物言わぬ植物の下のベンチの木陰で読書をしたらなんかやさしい気持ちになれるんじゃないかそしてまた何かを気づかせてくれるかなといつでもあのやさしいささやきを待っている
さわさわと揺れる
木に素晴らしい教えを待つように風に僕はたずねる
まだかなあとまだなのかなあと…
物言わぬ植物なんだという概念もなく疑うことなどせずに
心だけは物言わぬカエデと同じようにいつまでも純粋な子供のままで僕はささやきを繰り返す
ささやくんだ
何度も何度も
ささやくんだ
何度も何度も

2007/12/25 (Tue)

[1935] 物言わぬ植物C
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


毛布にくるみ置いてくよ 頼みましたと幸せ願いながら
あの家族に育てられればきっと優しい子になれるからと優子というせめてもの名前でもと何もできずにただ化け物のような植物のまましに絶えてく最後の贈り物につけて
罪人の私たちのようにならぬようにと僕はそっとよく晴れた桜も咲き始める暖かい春の日に玄関先に君を置いて去り際に少し振り返り涙をためた瞳でやさしく笑いかけ走り去った
許してくれといっぱいいっぱいのどうしようもないほど切なる想いを胸に秘めて
僕はだんだんと意識の遠のく近づく植物になる時を今と悟るように目をつむる
人間でいたときよりもたくさんのまなざしに見つめられ暖かい並木通りの一際目立つ大きな大きなカエデの木になり毎日通る人を見て楽しんでいる 暖かい風や涼しい風をその頬に感じながら 鳥と話したりたわむれたりしながら人間であったときには味わえなかった楽しい楽しい毎日の中で幾度過ごしそれはそれは素晴らしく立派な木であったという

旅から帰るように人々はそれぞれの幸せを心にともし木は恋人たちを見送る灯りは今日もカエデをライトで照らす夜
人間には戻れなかったけれどカエデの木はそれでもカエデになったことで何かを知ったという
カエデになったということが彼にとって決していやなことではなくなったのはそれを知ってからだという 僕はきっと知ったからだと思う

カエデは物言わぬ植物になって人々を今日も見守る 大事なことを知ったあとでその人間の意識を植物の意識にゆだね
見開いていた目で最後に見たモノはあの子の肩車されて元気に笑う顔だった良かったと深く息をつきそしてカエデは目をそっと静かに閉じた

2007/12/25 (Tue)

[1934] 物言わぬ植物B
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


こんなにした奴をしに至らしめても満足感も感じられず嬉しくないのはもはや人間の心を失っていたのもあるが
それ以前に人間の心を僕らはいつの間にか自ら自分たちの身の安全ばかりを考えてたとえ容姿は人間に戻らないにしても心までは植物にはならせてはいけない人間の心のままでありたいと思う見失ってはいけないはずだった気持ちさえも捨て去っていたことに終わってしまってから気づいたからだ

たとえ罪深い僕たちよりも奴の方が罪が重いからと自分たちの罪をなかったように隠蔽することはできずどんなに奴の罪が重かろうと自分たちの罪をその中に言い様に混ぜ込んでわからなくしようなどという愚かな罪をまた被ってしまった僕らはもっときっと罪深いのだろう
罪の上に罪を重ねた心はずしりと崩れ去りその重さで気持ちさえも憎しみに変えただ不乱なまでにこの鋭く尖った蔓の切っ先を振りかざしたのかもしれない

ただ僕らは奴のためささやかな餞別として小さな墓をたて
冬の寒さに凍り付かぬように奴のいない静かな部屋で水を僕にあげながら楽しそうに話す老婦人のその生い先のない短い生涯からでる老成した人間ならではの笑みを浮かべながら
具合はどうかしらとただぼそぼそ言ったあなたの言葉をあの風景を頭の中にだいたいの場面として描き思い出していた

と振り向けばもう君は立ち尽くすだけの毎日に力を使い果たし力なく頭の葉も僕があげた花飾りもしおれ疲れ果てぐったりとただ静かに息絶えていたのだった
僕は奴の墓から少しはなれた別の見晴らしの良いこの場所に君の亡骸と一緒に根を張らしこの長い冬を越そうと思う

見おろした街の中にはただ幸せの笑みがかすかに歌となり聞こえ春になる頃には僕も君と同じに君のそばで息絶えているだろうが
君がその腹に宿した人間の子供はあの家族にまかせるとします
あの家の玄関にメモ書きと私たちの子供を暖かい

2007/12/25 (Tue)

[1933] 物言わぬ植物A
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


言葉を知らない僕たちは不器用な上に未完成でまるで不細工な心を持った悲しいヒューマン

旅立つ時はさすらいの旅のように帰る場所はいつも決まっていて戻る場所も同じであるから僕もそれに習って戻るだけ
それだけが僕の退屈なまでの1日なのだから逆らうことなどできません
僕らは悲しい物言えぬ植物なのだから…

悲しみの種によって植物になっのは神から与えられた罰なのか 退屈で旅に出たい僕なのに足である根は言うことをきかず動かぬ引っこ抜くこともできない引っこ抜くことをすればたちまち僕は水を与えられない限り育たないから広い世界の排気ガスやあまりのビルの多さに惑い緑のない根を下ろす場所さえない都会はとてもおそろしく僕は中途半端な知識を持つのも考え物だと思うからここに留まらざるを負えないんだこの囲いの中で一生牢獄の中で暮らすような自由を奪われた牢獄暮らしの代償は僕らをこんなにした奴の小さい命が犠牲だった
これは天罰なのか
僕らこんなにした奴をやっとの隙をつきしに至らしめられてもちっとも嬉しくはなくかといって悲しくもない意識はもう植物と人間の狭間の意識の中を行き交いいずれもう少しで何も考えられなくなるといった状況だ
体も頭の中の半分はもう植物と化してしまっているからただ真っ白なむなしさだけがそこにもうろうとした意識の中に猛然と残り心に生まれただけだった

2007/12/25 (Tue)

[1932] 物言わぬ植物@
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


この旅立ちは一時の別れに似た新たな場所へとまた旅立つための終わりじゃないもうひとつのまた新しい物語の始まりさ また生まれるところから白紙に戻すのさ

何もない頭の中の紙に思い通りの景色を描いて そしたらその景色に好きな色で色塗りをするんだ
描く景色は鮮やかとは限らないから
必要のないよけいなじゃまな何かはいらないよと鮮やかさなくした暗い色で描くのかもしれない どこの誰かはね…

しばし立ち止まる
風の中 ふいに戸惑うようなあなたの仕草にどうしようもなくて何もできることもなく心揺れ動くのさ
僕があの日描いた未来はそんな明るくて鮮やかな未来だったけど
なぜかこんなにいやに暗くやけに静かな薄暗い景色の中
僕たちはなぜにこんな願いも惜しく少しも叶われてない未来の中に居るのかな?

旅立ちは今なぜか足りてない言葉をそっともう必要ないねとかき集めるように僕の胸にそのかわりにと永遠の疑問の種をふたりに植え付けるんだ

どうしてなのかな
どうしてなのかな
心はこんなに淡く切ない色に染まって
それだけならいいんだろうけど世界もこんなに鮮やかな世界を見てる人たちと僕たちとの世界を分ける

それだけでは足りないのかもっともっと種をふやしいつか僕らを植物のように水をあげりゃ伸びるような忠実なつまらない日々を暮らし一日中土に根を張り立ちつくす廃人のようになるかな…

2007/12/25 (Tue)
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