詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
俺は俺はどこへ行く?
そんなに急いで
俺は俺はどこへ行く?
行き先も決めないまま
何一つ叶わない夢ならば
終わりへ行き着く答だけはせめて知りたい
無情な世の中に目映く輝く光あれ
覚えた限りの言葉を今君に伝えたい
僕がこんなに焦ってる理由がなんなのかも
俺は俺はどこへ行く?
挨拶もなしに
俺は俺はどこへ行く?
何を求めて何を目指す
こわばった顔でいつも
大衆の目の前で途切れ途切れの歌唄い
恥ずかしがりながらも笑えてる
僕がいることをどうか忘れてしまわないで
僕より誰より自分を解ってる君よ
俺は俺は明日へ行く!
地図などなくても
俺は俺は未来に行く!
君と君と君だけとさぁ
行くんだ
行くんだ
行ってやるんだ!
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独りきりの淋しい夜
あなたを探してさまよってる。影は踊る月は雲に隠れる
嘘ばかりついている僕は
いつの間にか信じられることさえなくなって
今みたいに淋しい夜を何度も味わって
後ろめたさにふるえながら涙を流す
星の瞬く静かなムードの夜に
アナウンスが流れてそれから間もなくしたら
僕はこの場所から腰を上げて
消えちまうから
それまでにきてほしい
今までの苦労させた分は必ずね取り返すから
頼むよマイスイートガール
いつもみたいにギリギリでもいいから
暗闇を突き抜けて
終わってしまう恋をまた始まらせて
終電にきてほしい
ねぇったらねぇ…
動き出す列車の窓から見える
代わり映えのない景色…暗闇
かすかな街灯のあかり
あぁ 願いは届かなかった
逃げるようにスピードをあげる列車
窓を開ければ月がほら瞬いてキレイ
トンネルから抜け出た瞬間の反射光
涼しい夜風が吹く
髪をそっと撫でている
さっきより少し悲しみは癒えたかな?
でもまたやっぱり独りきりのせつない夜。
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僕は自転車泥棒
その場その場でとっかえひっかえしながらも
目指している場所へそう走っていく
ペダルを漕いでいく
夕方には片づくはずの問題たぶんは明日に持ち越される
誰も見向きもしないテレビ番組
生ぬるい夏の夜
何気なく観ていた
見れば悲しいニュースばかり
いつものように僕の知らない世界の現状が
ブラウン管を通して僕の目に映し出すよ
他人の迷惑かえりみず
夜は過ぎてそのうち朝になって
忘れていたなにかに僕は気づく真夜中
雲が低くたれ込めて雨がまもなく降ってくるよ
合図のように雷鳴が遠くの方で聞こえた
罪悪感に埋め尽くされた部屋
僕だけが知っている罪の意識
昼間の出来事
くだらないくらいどうでもいいストーリー
でも僕にとっては一か八かの大勝負
僕だけに与えられた最後の賭。
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どこまでも続く青い空の中に自分が向かっていく方向にずっと
白い雲をいくつも書き出していくよ
僕が進む道見上げる視界の中
真っ白な綿雲が気持ちよさそうに泳いでいく
退屈な毎日それでも僕は案外楽しんでる
こうやって窓辺に腰かけてぼんやりした夢の中にいるだけで
頬にそよ風が吹くだけで
幸せだって思える気持ち
いつまでも大切にしたい
明日になれば君とまた逢えるから
それまではずっとドキドキそわそわしながら
待ち遠しく思う今がとっても新鮮な気がする
だから
こんなにも空がいつもよりも近くいっそう青く澄んで見える
淋しくさせない。可愛くなくないって曖昧な言葉だけはつかわずに
ごまかさないでまっすぐ伝えるのさアイラブユー
君を、
愛してます。
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この頃は時間の波の流れが変わった
おだやかだった波がめまぐるしくなった
まるで早送りをするみたいに
時間は早足に進む
もっとゆっくり生きていたいのに
時間はそんなことなどおかまいなしでただ進んでいくだけ
歩調を速めてみても
心臓の脈打つ鼓動はあがったり下がったり
答を問いただす誰かの視線
焦るほどにわからなくなっていく
波音が遠くの方で聞こえています
静かなその景色にとけ込んでしまえば
日々のストレスや悲しみも忘れられる
そんな気がしたから
引いてしまう波の音
少しだけ悲しかったよ
でもまた気がつけば波は陸に押し寄せる
砂に書いた昨日が消えてしまう
その瞬間さえおだやかに静かに波はさらっていく
少しだけ申し訳なさそうに いつも
さらさらとまたお辞儀をするように引いていく。
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急ぐ僕らのこと
なにも知らない人たちは日陰で笑って
涼しい顔をして当たり前な正しさをせせら笑う
涼やかな風の中でみた夢
それはすべて遠い夏の日の幻
内容なんか覚えちゃいない
覚えちゃいない…
ピーヒャラピーヒャラお囃子の音色
夢みたいな景色
提灯の灯りが彼方まで続いて
提灯がない場所まできてしまって
また面倒に思いながらもにぎやかな場所にもどる
やっぱり昔の僕はここにいたんだね
雲みたいに真っ白な綿菓子をちぎりながら
時間の流れというものの切なさだとか悲しさなどを
感じられた夏でした
申し訳ないほど学んできたことを形にはできなかったけど
きっとそれでもあの夏は僕にとって
なくてはならなかった大切な夏
決まりきったルールにとらわれた道ならこんなに泥だらけになれなかった
こんなに笑えなかったよね
今日と同じように街に提灯が灯るころ
今日と同じ笑顔を浮かべて綿菓子を君に買ってあげる
焼き鳥も輪投げもさせてあげる
花火も一緒に見に行く
夏は夏の僕の知らない君の笑顔に逢えるから
逢えない理由がどれだけ残酷であっても
日陰で誰かが笑っていても
僕は忘れないで
僕だけは忘れないで
覚えてるから
あの遠い日の夏のことも
君のこともずっと
覚えてるから
過ぎ去ってしまう夏にさよならする時
屋台を片づける人を見てしまった時
少しは涙してしまうかもだけど。
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茶色く錆びきった線路
規則正しく停止線で止まる二両ばかりの電車
乱すものはなにもない
色あせた今日というページがめくれてまた新しい
なにも書かれていない真っ白な今日を書き込んでいく
思い出になるように
少しでも楽しいものになるように
たとえ最期の日になるとしても
いつも通りに過ごすだろう
どれだけの『大丈夫』という言葉や
たくさんのやさしさや気遣いの言葉をもらっても
なにもしてあげられなかった
何ひとつありがとうの言葉さえ当たり前すぎて
わざとらしくて気がつくとなにかをきりもなく求めている自分が鏡に映り
とてもとてもいやな姿だった
眠れない日は続き
ねていても途中で目が覚める日があり
とくにあの夏は寝苦しかった
熱を帯びた鉄のように
蒸し暑い陽射しがうざったかった
でも、過去の後ろ姿とは逆の道を歩いていく勇気
ちょっとずつだけど
ちょっとずつではあるけれど
持ち始めている気がする
そうして今日もけっきょく真っ黒になるくらい書いたページをめくり
明日のためにゆっくりとゆっくりとでも確実にページをめくる。
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夜空の天の川金色の光の橋を渡る
君の手を握ってキラキラと光る橋を渡る
星たちの輝きはそれぞれ違う光り方で
その一つ一つに様々な居場所があり
その星しか持ちえない輝きがあるから
窓を両手で押し開けたなら散歩に行こうよ
きっとステキな出来事が僕を待ってる
たくさんの悲しみが降りそそぐ夜は
きっとその悲しみと同じほどの喜びが明日は降り注ぐはず
繕いの笑顔で悲しいこと無理して隠しても
上手に笑えることなんかできるわけもないから
悲しいときは素直に強がらずに悲しいって叫べばいい
その涙はいつか自分を強くしてくれるだろう
転んでは傷がふさがってかさぶたができるみたいに
この傷ついた心は悲しみを重ねていくことで硬く強くなっていくのさ
歩きだしたばかりの今は悲しいと涙するくらいがちょうどいいんだ
いつしか強い心を手に入れるためのしばしのガマン
限りなく続く夜の空
月は輝くだけで笑顔すら見せないけど
足下をやさしい光で照らして
僕が踏み出すそれより前に僕の足下を暗闇に迷わないように照らしてくれていた
誰よりもまず照らしてくれていた
それが何となく当たり前なようでもあったけど
それでもうれしかったよ
うれしかった
そして今日も明日ものっぺらぼうの月は照らしてくれる
僕が迷わないようにあたたかい光でこの悲しみを乾かしてくれる
表情こそ見せないけれど
うれしかったよ
うれしかった。
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「この先工事中」の看板
舗装された砂利道
よけて進めば見える懐かしい母校へと続く坂
静かな路地に白く木漏れ日が注いで
あの中へ行けば私が求めていた別の世界へ行けるような気がした
でもその白い光の中を突っ切っていっても
同じ見慣れた景色が広がるだけ
セーターの綻びを直すみたいに
世界にある綻びも直せたらいいのに
いつまで経っても世界は綻んだまま
綻ぶように壊れていくように
綻びはむしばむように広がっていくだけ
迷う足はまるでパンクした自転車のように前へ進もうとはせず
擦り切れたタイヤのような心はいつしか
綻ぶように私の記憶もろとも火で炙ったように
灰になって消えた
それはあの「この先工事中」の看板を通り過ぎた辺りから
私の真っ白な心をいとも容易く狂わせた
ガタガタと崩れる具合に
私の良心はやがて影をそっと宿すだろう
まるでそう綻ぶように
私のすべてを狂わせむしばみ続ける
もう書き換えられない過去を背負い込みながら
私は冷たい地べたをうつむきながら這いずるだろう
綻ぶように
綻ぶように
綻ぶように……
私は私自身の持つ闇におそれながらも
魅入られてしまう
高ぶる感情の矛先を誰に向けるのでもなく
ただ気のおもむくままに
私は狂ったように綻びを広げていく
彷徨するように
綻んでいく
綻んでいく
綻んでいく……。
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空に向かって長くのびた梯子をのぼる夢
そんな他愛もないような夢の中で淋しそうな目で僕を見る君は誰かな
もう終わったはずだろう
何もかも
僕のシャツの裾を引っぱる君はだから誰なの
こんな小さなことで涙がでる
晴れた空はどこまでも果てなどなく
のぼる僕はいつまでも梯子の終わりにたどり着けない
君は少しそんな僕を笑ってた
空面にボートを浮かべて
乗りますかって聞いたのでした
ボートに乗って泳ぐうち
いつの間にか眠りこけ
目覚めたそこは夢のような素晴らしい光の中でした。