詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
『波状』
寄せては返す
波のように
僕達は生と死を繰り返す
その時間その時代の
違う人達が入れ替わり立ち替わりずっと繰り返す
たとえば遠い日、遠い昔
誰かが流した
涙は無意味なんかじゃなく
きちんとした意味があるもの
きっと大きな意味があるもの
それと同じに生きたことも
きっとそれ以上に大きな意味があるんだ
何一つ無意味なことなどない
今、君が生きている現在も
昨日、流した涙も
意味があるから
流してるのでしょう
街にあふれる家族の暖かな笑顔も
今君が僕に見せる
涙の理由にも
きっと大きな大きな意味があるんだよ
たとえ
今日を満足に生きられなかったとしても
明日があるじゃないか
引いては満ちる
波のように
時には弱さを見せなさい
時には怒りをぶつけてみなさい
僕は君に何度も何度も
それこそ波のように
何度も何度も繰り返し呟く
夕暮れの海
茜色に染まる空
砂浜にふたり
座ってさ
もう一度生きていること
愛し合うこと
考えてみようか
この幸せがずっとずっといつまでも続くように…。
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『存在』
『僕』という人間は
この世界に存在していい人間?
この世界に存在してはいけない人間?
わからないよ
自分の居場所が
わからないよ
自分の存在価値が
わからないよ
誰の傍に居ていいのか
わからないよ
自分が誰なのかさえ
『僕』一人ぼっち
いつも一緒に居てくれるのは
孤独と絶望のみ
『僕』という一つの存在をその瞳で見て下さい
『僕』という一つの存在を認めて下さい
『僕』という一つの存在を必要として下さい
『僕』は
此処に居るから
存在するから
だから
『僕』を
一人にしないで…?
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『歯車』
歯車が組み合わさる
歯車が音をたてながら回る
この歯車は
時間の歯車
様々な大きさの
様々な時間の歯車
それが組み合わさり
それが回ることにより
この時間が作られるのだ
私達は
その歯車の上にいる
歯車の回る流れに沿って
時間の流れを感じている
歯車が作り出す時間の流れを
ゆっくりと感じ続ける
今日も歯車は回る
そして私達は
この歯車の上で
時間の流れを感じている
歯車が止まらない限り
ゆっくりとした
時間の流れに沿って
今日という日を
幾多もある日々を
過ごしていく。
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『迷路』
深い悲しみ抱え込む度
僕は決まっていつも
心の中の迷路に迷い込む
その迷路は
何処までも道が続いており
幾つも幾つも洞穴があって
まるで蟻塚のように連なって存在している
だけど
道はたくさん在るにも関わらず
僕が選ぶ道はいつも一つ
それは一番
楽な道で
逃げ道という道だ
僕はいつも
目の前の現実から
逃げてばかりいる
いつだって
都合の良い楽な道ばかりを選ぶ
そうやって
今まで何度
出来たかも知れない可能性を無駄にしてきただろう
そして
僕はあなたにさえ
見放され
まるで暗闇に置き去りにされたように
独りポツンと迷路の前に立つ
そして
逃げてばかりじゃダメなんだとやっと気づくことだろう
それで
初めて
僕は逃げ出すことを止め
可能性に賭けてみることにした
時間はかかっても
今までの遅れ取り戻すために
僕は迷わず歩き出す
たとえ
その先にあるのが
絶望だとしても
僕は揺るがない想いを胸に歩き出す。
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自分だけの本を開いて
今、始まる
僕らのstory
悲しいことに涙して
ほら嬉しいことがあると笑顔になる
それはきっと生きているから
だから僕たちは笑いもするし涙もする
まだ見ぬ明日へ
まだ見ぬ未来へ
何処までも突っ走っていこう
いつも胸にはデッカい夢持ち続けて
自分だけしか知らない
扉、開いて
いざフューチャー。
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さび付いた自転車でここまできたけど
まるで翼をなくした天使のように這いつくばって
傷ついた心をしっとりとした雨が濡らして
僕は独り
目を閉じてみる。
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雨 晴れ 曇り…
移り変わる空模様
春 夏 秋 冬…
繰り返される季節
その中で
僕は何を見つけた
その中で
僕は何をしていたんだ
何のために僕は
明日を
未来を
生きるんだ?
自己満足で
適当な評価で
過ぎていく日々
そんなことの繰り返しで
はたして何を見つけられた?
はたして何が変わったというんだ?
そうして
また春が巡り来て
僕は一人
坂の途中
ひらひらと舞い落ちるたくさんの未来
その中で適当な未来を掴み取る
これから楽した分たくさん苦労をするとも知らずに。
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心に刺さった
棘が抜けない
抜こうとすればするほど
棘は深く入り込む
それは そうね
失恋の棘
失恋した数だけ
棘は心に刺さる
そして
これからもまた一本また一本と増え続ける
何故なら
僕は
これからも恋をするから
好き好んで恋をするから
そうね
これからも誰かを好きになると思う
きっと誰かを好きになると思う
だってだって
悔しいんだもの
だってだって
いたたまれないんだもの
だから
私は人生を共にできる良き理解者を
心から愛してくれるような人を探すの
それまではきっと
この心に棘は刺さりっぱなし刺さり続ける
そうして傷みを我慢して
私はいつか手にする
幸せを待ち望む。
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心の中のおもちゃ箱を残らず全部ぶちまけて
大切な大切な記憶だけを残して後は全部廃棄処分
記憶から抹消するんだ
悲しみも憎しみも
全部全部
残らず棄てちまおう
月明かりが部屋に差し込む
その瞬間
木の椅子に座らせていた
戯れで作った不細工な表情(かお)の
マリオネットが話しかけてきた
……それで良いのか…?
…本当にそれで良いのか……?
マリオネットはくり返す
そのたびそのたび
マリオネットの口がパクパクと開いたり閉じたりする
僕は言った
あぁそれで良いんだ
後悔はしてない
大丈夫これで良いんだ
僕もくり返す
マリオネットは
暗闇の中
瞳に光るものをため込んで
ひとしきり涙していた
同じ様に
"彼"も孤独だったから
僕の傷みや哀しみが解るんだろう
そう思って僕は
心の部屋を出
瞼を開けた
そこにはただ
いつもの退屈で理不尽な現実があるだけだった
これが
僕が自分で望んだ
結果なのだろう
止める心の中の自分さえも押し切って
僕が自分で選んだ
応えなのだろう
僕は一人
いや独り
深く深く
息を吸い吐き出した。