詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
遠ざかる今日
もう戻らない今日
手を振りお別れさ
気がつけば太陽は暗闇に吸い込まれて
代わりに月が夜に輝きをはこんでくる
星は瞬きながら
今夜も子供だましの夢を僕にみせる
歳月を重ねるうち
大切な何かを忘れてしまったような
そんな気がするんだ
そしてその何かが何なのか
それすら僕にはわからない
きら星ほらまた瞬いて光り出した
夜空に広がる
希望に満ちた明日を
誰の処にもはこんでくるよ
あっという間に過ぎていくだろう
日々は甲斐性もなく流れていくけど
それでも僕は明日の扉を開くんだろう
そして今日という日もいつしか未来となるまで
それまでに僕は世界に恥じないきら星になるのさ。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
日々をなんとなく過ごしている何の目標もない僕と
きちんと将来に目標を持って経済的に生きているあなた
そんな僕とあなたとの間には大きな違いがあり
そして僕はそんなあなたにその違いと同じだけの疎外感を感じてしまう
教育法は違えど全体的にほぼ同じことを学び
同じこの空の下に生まれたのに
何故かあなたと僕には出来具合に大きな差があるようだ
考えてみればあなたと僕の中に流れてる血もDNAも違う
ただ同じ人間というだけの勝手な僕の思い違いだった
それでも僕はあなたに勝る部分があれば満足だった
ただ優越感に浸っていれば多少の学力の差など無にも値するからだ
そして僕はまるで廃人のように
毎日を暮らすだろう
あなたが着々と人生設計を立てているうちに
僕はただもの静かに夢うつつでいるだろう
そして またひとつまたひとつと日々を摘み取るんだ
まるで 毎日の退屈や憂うつを指折り数えするように
ただ淡々と流れていく日々の波に流され流されしながら
僕はそんな目標も夢もない
ただ退屈で憂うつなだけの未来にたどり着くだろう
それを承知で僕はいつの間にかあなたとの友情や信頼さえ
摘み取ってしまったんだ
退屈な日々と一緒に摘み取ってしまったんだ
そして またひとつ
退屈を紛らす暇つぶしがひとつ消えた
愚かな僻みや妬みのせいで。
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花の命は短い
咲いたと思ったら
すぐに枯れる
それでも花は咲いてから枯れるまでの一生を美しいまま留める
人間のように嘘をついたり
誰かを殺めたりせずに
ただ静かに地味に一生を終わりまで暮らす
ただ風に揺れ
ただ季節もおかまいなしに
ただそこに咲いている
その姿はまるで
私が今まで見た
どんな女性よりも美しく 妖艶で 可憐だった
まるで化粧をしているように
花は枯れてもなお
その 妖艶さ 可憐さをなくさず
美しいまま咲いている
人間のように着飾ることなく
醜さをムリヤリに変えることもなく
花はただ風に揺られ
艶やかに花弁を広げ
陽光を浴び
瑞々しく咲いていた。
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亡き貴女のために
私は 灯すよ
そっと 暗がりにひとつ
貴女の魂 迷わぬように
そっと 流したよ
送り火 ひとつ 流したよ。
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愛ゆえに
誰かを憎み
愛ゆえに
誰かを妬み
愛ゆえに
誰かを尊ぶ
そして 愛ゆえに
涙し 悲しくも切なくもなる
それでも 僕は
愛し 愛されたいと思う
そんな不思議な気持ち
今 胸の中
芽吹きつつある。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
冷たい雨は当分やみそうにない
かといって雨の降る中
走って帰るのも気が引ける
風邪を牽くかもしれないし
だから雨宿りをしてる
だから雨宿りするしかない
雨が止むことを願って
それでも雨が止まないときには
風邪を牽く覚悟で
びしょ濡れになる覚悟で帰るけど。
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なぁ 弥次郎兵衛
僕はどうすりゃいい?
なぁ 弥次郎兵衛
どうするべきだ
君は答えもせずに
右へ左へ揺れるだけ
ドングリでできたカラダを
上下に 左右に
ぐらつかせながら揺れるだけ
いつから こんなに
夕焼けがキレイだと思えるようになったんだろ
それはきっと知らない間に
僕が大人になってしまった証拠だろ
夢物語やおとぎ話のない世界
あの頃夢見てたハイテクな未来とは
似ても似つかない世界
なぁ 弥次郎兵衛
答えくれよ
その不安定なカラダは倒れそうで倒れない
しょっちゅう倒れてばかりの俺とは違い
なぁ 弥次郎兵衛 弥次郎兵衛
せめてもっと早く気づきたかったよ
繰り返すグチと
冷めちまったコーヒー
降り出した五月雨
鏡に映る大人びた僕
理想(ゆめ)はもう現実に飲み込まれてしまった。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
詩を書いている人は皆
詩に対して絶大な愛情を持ち
そして誰もが抱くであろう迷いや悲しみを言葉じゃなく文字にして伝えるんだろう
だけれど僕はそれ程までに詩を愛しているわけじゃない
愛していないという訳じゃないけれど
何故か僕は詩を愛せずにいます
そんな僕は詩人としては失格だ
では何を伝えたくて僕は詩を書く?
それも分からない
だが詩を書く
気づいたら詩を書いていた
ぼんやりとした気持ちで
何故か書いていた
空を見上げて
川のせせらぎに耳を傾けて
鳥のサエズリを聞き
喜びも悲しみも詩にする
僕はそんな詩人さ
少しひねくれた詩人さ
胸の底から湧き上がる情熱は
だらしない気持ち
徐々に溶かしていく
そしていつか
僕の書き綴ってきた数多の言葉たちは
教えてくれるよ
迷ったとき悩んだとき力になる
悲しいとき切ない夜も支えになる
魔法じみた言葉
それが詩なんだろう
そんな詩を書いていたいんだ
そのために僕らは酸いも甘いも
極楽ばかりじゃなく
地獄のような試練も乗り越えるんだ
詩人を失格になったとしても
僕はきっとそれでも詩を書くのだろう
ひとりの人として
想いを文字にして
平々凡々とした暮らしの中で詩を書き続けていこう
これからも そして
年をとっても きっと。
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あぁ
私は孤独に魅入られた女
あぁ
夢を探し 愛を求め
孤独を背負ってまでも貴方を欲した
あぁ
愛とはいつからこんなにも無機質になったのか
あぁ
揺さぶれる想い
確かなのはもう何もない
何ひとつ私には無い
ただそこには涙のあとがぽつりと悲しく残っているだけ
あぁ
名もない旅人よ
私のこの腹に身ごもった赤子は貴女の子
雨に濡れ 風に吹かれ
貴方をどれほど待ち望んだことか
目は見えないけれど
この胸には確かに映っているの
差し出した手の温もりは本物
握ったこの温かさは間違えないわ
愛は盲目 私は盲人
私の目には何も映らない
だけれど貴方の温もりだけは感じ取れるみたい
ほら また
貴方のその温かな手が私を抱きしめているわ
私を欲してくれている貴方の手が私を女にしてくれるの。
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旅から旅へ行く人よ
貴方は何故
愛を知らない?
愛を知らないふりをする?
貴方のその背中はヒドく悲しげで
貴方のその瞳はヒドく赤茶けて
幾多の旅の中で
何を探している?
ロマンでもなく
憧れでもない
ただそれは宛もない孤独な旅を自ら強いる
空にはいつだって
どんよりとした不安
どこまでも続く
限りなき青天
少し目を凝らして見える後悔の影
目深に被った帽子
顔にある二つの眼孔から見える
黒目がちな瞳
何かをキッと睨みつけるような
信念のこもった
そんな眼差し
次はどこへ行くのか
旅人よ 旅人
何をそんなに焦っているのか
何がそんなに焦らせているのか
詩人よ 詩人
言葉と嘘をかき混ぜて
出来上がったのはそんな旅の唄
あぁ 案山子よ 案山子
何故にオマエは空っ風に吹かれ
カラスに集られ
それでも 勇ましく雄々しく立ちつくす?
そして私は詩を唄い
旅を居場所とする
そして私は詩を綴り
孤独を贖いとする
まるで いつかの
案山子の如く
まるで そこいらの
幼子のように
私は詩人としてではなく
旅人として
そして 時には
道化として詩を唄い
旅をする。