詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
学校からの帰り道
いつもの見飽きた下り坂
気づいてみればなんだよ嘘っぱちか
桜はまだ咲かないらしい
退屈なだけの日々にただボクらは身をあずけていたい
訳じゃないだろ
目を覚ますんだ 気を確かに持つんだ
目を開ければそこはいつもの教室内
ボクは何故か一人きり
あの子の席を振り返る
途端に景色は変わって
満開の桜が視界に飛び込む
桜咲く坂道
ガード下の広い原っぱ
色あせた緑色のベンチ
いつの間にか寝ていたようだ
原っぱの木々はもう桜を咲かせて
ひらり舞い落ちて
ボクの手の中を春風に踊らされながら
やがて空に舞い上がっていく
ただボクはそれをいつまでもいつまでも
見ていたんだ
空が夕焼け色に染まるまで。
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雨上がりの空に架かった虹みたいに
奇跡みたいな出来事は
突然にやってくる
いつもやることなすこと
何故か上手くいかない
それもまた人生じゃないかい
ありきたりな言葉を飲み込む毎日に
嫌気が差した
それでも日々は回り続ける
いつも言いたいことが
まとまりを成さない
それでも明日には笑ってる
脳天気な僕が居る
空回りの連続に
不意に聞こえる雨音
そして、泣きそうな君のか細く澄んだ声…
バイバーイバラード
きっとまた逢える
運命はまた巡る
宇宙をも越える大きな力で
僕らはまためぐり会う
サンキューバラード
感謝の気持ちは
今度逢う日まで言わないでおこう
ただ今は涙を堪え
最後の別れに手を振るだけだ
いつかまためぐり会う為に
いつかまた愛し合う為に
精いっぱい手を振りまくろう。
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時々僕は愛について考えてみる
アナタと出逢い恋に落ちて
だいぶ経つけれど
僕はアナタがいて良かったと思うんだ
口に出さないだけで本当は感謝してるんだよ
僕が君にあの時言った言葉は今でも
濁っちゃいないさ
あの頃の恥じらいを今でも忘れちゃいないさ
薄汚れたアルバムの中の写真は時間を閉じこめる
台所の鏡は私を老けて映す
見る度見る度私の顔にしわ数を増やしながら
いつか映すだろう
死に顔を待っている
そして時は彼方に持ち越される
永遠にも感じられる時間を孕みながら
愛あるあの日へ帰りたい
愛ある今を幸せだと唄いたい
時の流れがふたりを変えてしまったのなら
若ささえ奪っていてしまったのなら
私は時間の無神経さを恨むだけ。
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木馬は廻る
木馬は廻り続ける
私の心の中で廻り続ける
木馬にまたがったもう一人の僕が
道化衣装に身をまとって
口には真っ赤な口紅を塗りたくって
私に優しい言葉で語りかけてくる
その優しげなピエロスマイルの裏には
絶望に誘う為の周到な思惑がある事
私はいつもそれを知っていながら
ピエロの口車にまんまと乗せられてしまう
それは私の心の弱さがそうさせる
私自身の至りなさがそうさせる
そして
木馬は廻る
木馬は廻り続ける
優しい口調で優しい言葉をささやく
ピエロを乗せて
私をあざ笑うかのように
ピエロはニッコリとスマイル
味方を装って裏切る裏切り者の笑顔だ
木馬は廻る
二人の道化師を乗せて
道化衣装に道化化粧をした
私と、正確には
私の陰を乗せて
木馬は廻る
くるくる廻る
くるくるくるくる廻る
目が回るほどに
気が狂うほどに
廻り続ける。
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ひとたび、その花が開花すれば
人は否応なく憎しみの命ずるままに走ってしまう
そして、太陽のような温かな光がそこに差せば
また、闇は晴れ
その人は自分の罪深さを嘆くんだ
それが後悔というもの
私たちは罪に罪を重ね
とうとう償いきれないほどの罪を重ねてきた
小さな嘘にしても罪は罪
集まれば大きな罪にもなる
闇はそんな弱い心につけ込みやって来る
光はそれでも人の温かさや優しさを知っているように
ひっそりと私たちを照らす
まるで部屋の一隅に
に作り出された日陰と日向のように
そして私たちの足元にできた人の影のように
闇は在り続け
光もまた在り続けるんだ
ずっと在り続けるんだ
暗く音もない心の奥の奥に。
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憎しみは憎しみを連れてやって来る
悲しみも悲しみを生みにやって来る
憎しみも悲しみも光あるものは生まない
憎しみと悲しみから生まれるものは
同じ様に憎しみと悲しみでしかない
どこかで歯止めをかけなければまた何度も繰り返すだけ
深い憎悪と悲哀を生むだけ
人は愚かな生き物だから
その憎しみをやり返さないことには
悲しみに身を滅ぼしてしまうから
憎しみの牙をむき出しにするんだ
それでも悲しみがはれることはない
一度生まれてしまった憎しみと悲しみはずっと消えずに心に刻まれ、後先の希望に満ちるはずだった人生までもを悲しみに染め狂わせる
光と闇は常に交互し、交差するもの
光が在るところには必ず影が生まれ
闇があるところには同じ様に光がある
闇が深く濃ければ濃いほど
光は目映さを増し
闇の支配を遅らせる
だが、その人の持つ光が弱ければ弱いほど闇は浸食しやすくなる
当然、心は闇一色に染まり、光は効力を失う事になる
光もまた同じ
暗く音もない心の中を這い進むように
憎しみや悲しみは止めどなく生まれる
光も闇もどちらか一方をなくして存在することは有り得ない
どちらも存在してこその光と闇
たとえれば蝶番のように対になって存在する
私たちは誰も
憎しみと悲しみの種を心に宿している
誰もがその種を咲かせるほどの闇を持っている
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白む十二月
街はきらめき
聖なる冬の夜
どこもかしこも人でごった返す
幸せそうに肩を寄せ合い歩く恋人たち
僕らはというと手もつなげていない
お互いに恥ずかしがり屋で
未だに一緒の夜も過ごせてはいない
たまのデートでどっかに行くくらいが僕らには
似合っているのかいないのか
ただ僕らは恋に臆病になって
君も僕も愛してるの一言も言えずに
ぎこちないまま
強引さが僕にはないから…
恋にはうとい僕だから…
そんなことじゃいつまで経っても手すらつなげずに終わっちまうよ
見上げれば雪が街を白く染めて
僕らの瞳にゆっくりと舞い降る
僕はなぜかどういう風の吹き回しか
気づかないうちに君の手をみないようにしながら掴んでた
二人は顔を赤く染めながら
ぎこちなくも恋路を歩いていくんだ
降り続く雪は明日には積もるだろう
僕らは不器用でも恋をしていく
淡い淡い雪のような恋をしていく。
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今日も何事もなく日が暮れていくよ
空がキレイなオレンジ色に染まっていくのを眺めてる
今日はいろんな事があったな
だけど大したことはなかったな
昨日とさほど変わらない一日だったよ
それは一昨日も一昨々日も同じだったけど
ベットで寝転がりながら
外のすゞやかな五月の風が僕の頬を優しく撫でる
目をつむればいつの間にか明日になるんだな
何か変えなくてはと僕は焦りながらも
結局何も変えられずに何を変えればいいのかそれすらわからないままで
気がつけば空は夕焼け
家路へと辿る僕の真後ろに影が伸びる
夕空の温かな光
僕の部屋に降り注ぐ
惚けた顔の僕の顔を赤く染めて
涙を何食わぬ優しさで乾かしてくれる
きっと明日も今日みたく何ひとつ変わらずに
夕焼け空をこうして眺めるんだろう
それでも良いかなと
僕は自分を納得させるように頷いた
愛も温もりもない暮らしだけれど
あの夕陽だけが僕に優しさを 温もりを
与えてくれるから
そうつぶやいたら
僕はタバコも酒にも目もくれず
ちょっとばかり潤んだ瞳から夕焼け色した涙を拭って
カーテンをゆっくりと閉める。
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僕達はいつ何時も手放すことなく
いつになろうと変わらないモノを持ち続けている
それはきっと年齢(とし)を重ねていくにつれ
私の心の中で静かに音もなく成長していくんだ
時には己さえも傷つけるけれども
それは僕達人間にはなくてはならないとても大事なモノ
時が僕達の命を少しずつ削るのは
きっと僕達の誕生(うま)れるずっと以前から
決まっていた事で
運命の下に於かれているモノでいうなれば宿命でもあるのだろう
そして僕達は枯れ、そして老いていく
神々の創造(つく)りし運命の天秤に乗せられて
時の砂が僕達の命の重さを越したとき
僕達はその永く果てしない旅を終える
終わり行く時の中で
散りばめられた
幾億もの光の欠片
その欠片を僕達は誰もがこの胸に秘めていて
誰もがその欠片を瞬かせる可能性を持っているんだ
ただ、その欠片は血もにじむような努力と頑張り次第で
有にも無にもなる
瞬かせるのは自分自身
神々が僕らに与えた試練なんだ
その試練を越えた先にある夢、理想を勝ち取れるのは生命の中でも数少ない
我々、人間だけだ
そしていつかそれに気がついた時
夢がキラリ瞬いて
強い輝きを放つなら
今、僕達は求むものを掴むため
夢までスーッと手を伸ばすだろう
人のぬくもりのような温かな光に包まれて僕達は夢をこの手にするのだろう。
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思い出したくもないような悲しい過去に
振り返りたくもないような淋しい日々に
僕は今さら涙する
映画のように淡々と過ぎていく毎日
仕事へ行き帰って寝るだけのツマラナい平日
たまの休みはどこへも行かずに家で寝てるだけ
気がつけばまた平日になる
それのくり返し
そして今日もいつの間にか平日の前の夜
明日は又仕事の日
次の休みまでまた同じ退屈をくり返す
死ぬまで…
定年を迎えるまで
安息はこない…。