詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
もも色に色づき始めた桜の花びら
君の頬紅がピンク色に染まったとき
僕ははじめて春だなぁと感じ取る
桜並木を二人で
歩いていると
桜の花びらがヒラヒラと舞い落ちて
まるで雨のように二人の視界に降り注ぐ
『キレイだね』ってそれだけで春だ
僕たちの恋に終わりがないようにこの光景にも終わりがないように願いたい。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
このまま深く濃い闇に染まるのもいい
このまま運命のせいにして死ぬのも悪くない
どうせ僕が探している人はもうどうやったって無理なんだ
そうだ醜い僕には君みたいな醜い女がお似合いさ
暗やみに包まれて
空が漆黒に染まる頃
君はどこでなにしてる…?
紅い月はそんな僕を見て
可笑しそうに微笑んでいた
まるで僕をバカにするようにゲラゲラと笑い出した
耳障りなその笑いが
鳴り止むまで
僕たちは醜い者同士夜通し生い先の夢を語り合った。
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幼い私はなんら罪悪感もなく
ほぼ毎日のように小さき命をこの手で殺めていた
列になって餌を運びながら歩く蟻を無表情で踏み潰す
残念ながらこの世界では蟻を殺すことに対してには罰則はない
だからといって平気で殺す私は幼いとはいえ今考えればとても恐ろしく思う
母はそんな私の将来を不安がった
私はそんな不安など気にもせずに罰せられぬ過ちを犯し続けた
そんな私は大人になってからも何ひとつ変わることはなく
毎日毎日退屈な日を送っている
まるで繭にこもったまま死んでしまった蚕のように
私はこの部屋で死んだように閉じこもってばかりいる
私に蝶のようなキレイな羽はいらない
飛び立つための力も必要ない
ただこうして孤独を見つめているのがお似合いだ
永遠の日の当たることのない日陰の中で
私は羽(きぼう)を失ってしまった蛾のように
この部屋で死にゆくんだ
誰にも看取られることもなく
ただ独り静かに安らかに眠りにつく
それが孤独を背負ってしまった者の最期だから
私をそれに習って死を迷わず受け入れるんだ
私を産み落とした母へのせめてもの罪滅ぼしとして私はあなたに最期に私を産んでくれてありがとうと言いたい。
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私は社会という深い深い暗やみの上を這う人よ
冷たい風に吹かれながら
傷つき挫折して
絶望を知って
それでも必死になって生きようとする
それが人よ
暗やみに光差すことを信じている
だから私はこんなにも頑張れる
こんなに傷だらけになっても
こんなにからだを冷たくしても
こんなに社会から嫌われていても
私は這う
いつか暗やみを抜け
光を見るまで
強かな希望を胸に私は這い続ける。
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いったいいくつの仮面を被るんだろう
いったい何枚仮面を重ねるんだろう
怒りや喜びや哀しみの仮面を私たちは被り
また一つまた一つと感情は留まることなく現れ続ける
私たちの弱い心につけ込んで感情は無限に増え続ける
私たちは誰もが仮面を身につけている
仮面はいわば心の弱さといっても良い
身につける者の心が弱ければ弱いほど仮面は増え続け感情の数は増す
仮面はそんな弱さから生まれる
人間のちょっとした隙をうかがっては仮面は心に被さってくる
若い私たちがこれから生きていく社会は
仮面であふれた暗黒社会なんだ
いろんな感情が絡み合って人間性にさえも影響を及ぼす
そんな社会へ足を踏み入れる私たちは善意の仮面を汚すか汚されるかして生きていくんだ
そうして気づけば知らない間に仮面は汚れ心は黒ずみ仮面を被っていたということにもなりかねない
だからといって
無理に善人を装うことが必ずしも得策とも限らない
人の心には弱さがあり
それに対抗する力もある
ただその力が逆に弱さを作ってしまうこともある
だから仮面は絶えないと思う
仮面社会に生きていく私たちは仮面をよりよく良くも悪くも使いこなす
心の弱さがなくならぬ限りきっと仮面は在り続ける
弱さのなくなる日なんてないことを人は当たり前と思い知っているから
だからこそ仮面は今も人を惑わし続けるんだろう。
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僕を見つめる君の優しげな瞳が
僕の心までも見透かせまいと僕は思っていたけれど
君の瞳は思うよりも僕を真っ直ぐに見ていたようだ
『裏切り』という言葉が僕らの今に似合うのは
きっと僕の浮かれた気持ちが君を裏切る結果になってしまったから
嘘やごまかしも通じないあなたに
隠し事なんてできないのをわかっていたはず
それなのに僕はなぜあのとき過ちを犯してしまったのか
今でもわからない
悪いのは明らかに僕なのに心許ない。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
輝く星がキレイに見える夜に
銀河を走る列車に乗って
君を誘って出かけよう
天の川や月を見に行こう
もちろん夜食は心配しないで
銀河レストランを予約してあるよ
君だけに今夜限りの夢を見させてあげよう
さぁ 夜間飛行へと出かけよう
さぁ ロマンチックな時間に揺られて
銀河系よりももっと遠くへ
君を招待しよう
楽しい楽しい夢のような空の旅へ。
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僕はいつも君の側で愛の歌うたってる
それでも君はどうしても僕の歌ううたを気に入ってはくれない
愛の歌は紛れもなく渾身の一作で僕の気持ちは本物のはずなのにどうしても君は認めてくれない
君はまるで僕を試すように
いつも作りづらいような複雑な歌を求めてくる
もっともっと誰も作ったことのないような歌を聴かせてと君は僕に言う
たとえ僕らの愛の形が間違った愛だとしても
僕はかまわない
ただ僕は愛する君のために歌をひたすら作り続けるだけさ
なぜなら それが
きみを愛おしむ事だと思うから
僕が君の一番になるための最良の近道だと思うから。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
暗やみに一際大きく輝くまん丸な月
耳を澄ませば遥か聞こえる虫の鳴き声
胸にあるのは月並みほどの大きな傷跡
思い出すたび胸の辺りを言い様のない痛みがおそう
高い高い屋根の上
尖った尖ったナイフのように
月が鉄塔に刺さっている
まるで大きな大きな鍵穴のようだった
暗やみにおぼろ月夜
ゆらりとうつろう
時の流れと微かな脈動
まるでそれは夢のような現実味を欠いた朧気な光景
そして深い闇が僕を楽しい夢へと誘う
あの日の悪夢から
まだ解放されていない僕
それでも夢はいつになろうと楽しく面白いものだ。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
君と過ごした日々
僕の中で忘れられない楽しかった思い出
過ごした時間は短いけれど
充分愛は深みを増した
チクタク チクタク
過ぎ去った時間を巻き戻すように
頭の中であの日が映像になり浮かび上がる
チクタク チクタク
時間はもう戻らない
けれど思い出すことはできる
だけど思い出すのは少し勇気がいる
なぜなら君はもう還らない人だから…
チクタク チクタク
だけど僕はかまわず思い出す
君と過ごした日々をけして忘れぬように
君と過ごした数カ月が幻にならぬように
僕は思い出せる限り思い出すんだ
忘れかけたあの素晴らしき日々を
もう一度ゆっくり思い起こすんだ。