詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
水平線の向こうへと
沈む太陽を見ていた
空はオレンジに染まって
少し切なくなった
あの太陽は何万年も前から
色々な景色を見てきたのかな
悲しみも喜びも
生命の営みも進化も見てきたのかな
水平線の向こうから
太陽が昇らなくなる日は来るかなぁ
きっと当分のうちは太陽は浮き沈みを繰り返すだろう
僕が死んで僕の子供も死んでその子供の子供も死んだって
きっとなくならないくらい
遠い遠い日まで
世界から誰一人いなくなるまで
太陽は浮き沈みし続ける
そうしてまた次の世代へと受け継がれ
太陽は静かに見守るみたいにそこに在り続ける
太陽よ
僕がもし
結婚できて子供を生めたら
その子が寂しがらないように側にいておくれ
僕はあの世に行っちゃって
あの子の側にいられないから
頼むよ 頼むよ 太陽よ。
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薄らいでいくぼやけた視界の中で
手探りにさぐる愛のぬくもり
空の色はキレイなだいだい色だといいな
暗闇の中で灯す明かりはとても小さく儚げで
まるでいつかのあなたのように
星の輝くキレイな夜にやさしく光を放ってた
泣かずにいられる
そんな愛を求め
笑っていられる
そんな毎日を探し
届いたのは理想とは程遠い退屈な日常
ため息ばかりのツマラナい日々
数え切れないくらいの悲しみに出会い
君をも泣かせてしまった僕は愚か者
泣いてる君を後目に僕はただなだめる言葉もなく
俯いて見つめていることしか…
君は君で
君でしかなく
この世界じゃとてもちっぽけな存在で
僕は君の
クラスメートでしなく
僕の中では偉大すぎて偉大すぎてとても近づけやしない
君の名は夕子
夕暮れのように
キレイな瞳をして
儚げで美しい
僕が初めて恋した女性
僕の名を夕子
呼んでくれはしないだろうか
たった一度呼んでくれはしないだろうか
無理だと承知で
頼み込む
ダメもとで
頭を下げる
夕子よ 夕子
僕の瞳に映る最もキレイな夕暮れよ
僕の名を呼んでおくれよ…。
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振り返りゃ見える
今まで歩いてきた長く続いた道の上
僕がつけた幾つもの足跡
その足跡は僕に大切なことを思い出させてくれる
年老いた頭に残る幾つもの思い出
その場面の一つ一つを記憶している
ありきたりな毎日だけど
僕にとっては忘れられぬ大切な思い出には変わりないのさ
だからもう一度
振り返ったときには
この世とお別れするとき
だからあの頃精いっぱい生きていたんだ
年をとった今だからこそ
言える大人びた言葉
自分の涙で足跡が消えてなくならないように
涙は拭いて
明日へと行こう。
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誰かを傷つけそうになるたび
心が破けそうに痛くなる
他人を労ろうとする気持ちは
あなたにとっては邪魔にしかすぎない
「大きなお世話」とあなたは私の助けを遮った
いま僕の世界に
降っているのは悲しみの雨
冷たくしょっぱい誰かの涙
いつかのあなたのゴツゴツした冷たく大きな手のように
町中を濡らしていく
傘の上にはじけて
地面に落ちる雨粒
曇った空の向こうに見える晴れの兆し
あなたの存在しない町に降った雨はもうじき止むだろう
儚い気持ちともどかしい気持ちを残したまま。
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夜な夜なさまよう
夢遊病者のように
夢はもう飽きた
手に取れないものなんて欲する意味はない
眠れない夜は
こうやって月を気長に眺めてる
庭の畑で蟋蟀の鳴き声を聴く
そうするうちに夜は過ぎ
気づけば朝になる
縁側の柱に寄りかかって
目覚めた私は昨日のことを夢だと疑わなかった
なぜなら夢は一瞬の幻惑なので
知らない間に私を夢の世界へと連れ去ったに違いないと思った
飽きたはずの夢の中で私は現実離れした幻を見た気がした
遠のいていく幾多の思い出に見取れて
いつの間にか現実か夢かも判断できないほど
私の病気は進行していたらしい
今更それに気づいて
ちと考えた後
また僕は夢の中
現実か夢ともつかない世界をさまよう。
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十数年の時間は君の心まで醜くしてしまった
あなたはもはやあの頃のやさしかった面影すらなく
仮面を被った
あの頃よりも不気味な顔になってた
君の姿はまるで
果てない暗闇の中を泣きながらさまよう迷子のように
虚ろな瞳をしていた
その冷たい偽りの仮面の下に
優しかった君を想像するのも疑ってしまうほど
君は性格や人間性もその顔と同じように変わってしまったのか
偽りと虚栄の果てに
求めたのは
誰よりも勝った美しさ
己の醜い顔を嫌い
第二の人生を歩んだ
あなたが求めたのはそんな偽りの日々ですか?
昔のあなたの姿を映した
写真が燃えている
その途端
あなたの心は昔のあなたをも一緒に燃えてしまったのか?
そんなあなたを前にして
私はただ切なさとときの儚さを押し殺すのに精一杯で
言葉の一つもでてはくれませんでした
思い出はあの頃すでに君の手によって
焼き捨てられてしまったから…。
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たとえ容姿や顔が醜いとしても
心が美しければ人間としては申し分ない
逆に心が汚れていて
飛び抜けて容姿や顔が整っていて美しい人なら
きっと誰からもいやがられるだろ
それと同じに人間の美しさは容姿や顔じゃなく
心がどうかかで決まるんだ
醜く歪んだ顔を鏡に映して
こんな顔に生まれてこなければと嘆くあなたは
本当の美しさに気づいてないだけ
本当の美しさとは澄んだ心を持った汚れのない人間的な心をいい
けっして容姿や見た目で美しさは決まらない
もって生まれた顔なら
素直に受け入れればいい
なにも無理矢理に顔を変えることはない
ありのままの素顔と心で生きていけばいいんだ
それを受け入れられない心こそ真の醜さであり
あなた自身の知らぬ間に背負ってきてしまった心の闇と心の醜さの証だ。
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ハロー ハロー
私の声が聞こえますか?
ハロー ハロー
朝でもないのにおはようさん
朝じゃないなら
今は昼かい?
それとも夜かい?
ハロー ハロー
町は眠りの中
空は真っ黒け
そうか
今は夜だ
でもなんで
瞳は光を通さない?
瞳は暗闇しか映さない?
ハロー ハロー
眠れる森のシンデレラ
ガラスの靴は割れちゃって
私は王子様に合わせる顔もありません
ハロー ハロー
それでも星は輝いて
南瓜の馬車は城へと向かう
眠れる世界の真ん中で鼻歌を唄いながら。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
私はまるで芋虫
退屈そうに這い蹲るただの青虫
私はきっと蝶になることなくその短い一生を無駄に終わらせることでしょう
そんな私が恋をした
キレイな羽に見取れて
月明かりに照らされて貴女の美しさに一目惚れ
その日から私は夜も眠れずにいます
でも
こんな私にあなたが振り向いてくれるわけもなく
思いを伝える間もなくあきらめてしまいました
言わないでも返事は決まってますから
ただ
私は遠くから
こうして貴女を眺めているだけでいいのです
断られたときの悲しさに比べれば
こっちの方がいくらかマシですから
今夜もこうして
貴女の見えないところで
ひっそりと眺めるだけで精一杯なのです
芋虫の悲しい初恋の終わりでした。
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心は磨けば磨くほどに
キレイな澄んだ心になる
ほったらかしにして埃まみれの心じゃ
いつか壊れてしまい
使いものにならなくなる
だからその前に
心の汚れを残らず削ぎ落とそうか
心はキレイでこそ
心というものだから
人にとっておそらくいちばん大切なものだから
僕は心を丹念に磨く。