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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1084] キミノコエ(前半)
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


退屈を連れながら
過ぎ去る日々
積み重なっていく
苛立ちと不安の中で
忙しさに時間を奪われて
寝て起きて寝て起きて
繰り返す日常
憂うつを背負いながら

僕の声は誰にも届きはしない
濁った都会の空気に混ざって消えてしまうから
吐き出された溜息と同時に声を失ってしまうから

独りぼっちの夢の中
立ち止まりながら
憧れを夢見る
傷ついてしまうのがとてもこわいから
やろうともせずに
ただ声に 言葉にするだけ
涙しながら笑ったふりで

重ね合わせた唇と唇
幻のように目覚めたら夢だと気づく
理想ばかりが
妄想ばかりが
膨らんでいく いつも
時にかげりを背に抱えながら
時に八つ当たりしたりして
独りの淋しさを 切なさを はかなさを
必死にごまかそうとする
でも
余計に悲しくなる
そして気がつくと
いつも
泣いてる
うつむきながら
顔を歪ませて

君の声が今すぐ聞きたいよ
僕の心にすっと陽が差すように
暖かな春を届けるように
帰りの電車の中
眠そうに疲れた顔をしてる僕
曇った窓の外
かすかにのぞく月の光

届かない夢
現実という交差点には
いつまで経っても
信号は青に変わらず
ただポツンと立ち往生
見上げた空はこんなにも青いというのに
心は萎れてて
ひどく赤茶けてる
さび付いた鉄のように
ひどく傷だらけ

2007/05/08 (Tue)

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