詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
見たこともないふれた事さえない
物語が僕の知らないところで今日も始まっているのさ
明け方と呼ぶにはまだ早い
夜が明ける途中で僕は待ちきれない想いを抱え
それでもじっと静かに朝を待っていた
理不尽なことばかり許される世界
争うことで答を見いだそうとする
愚かな考えじゃいつになっても平和は訪れやしない
今すべきことはそんなことじゃなく
誰かの血の流れに嘆かなくてもいいように
一人一人が意識を持つことのはずだった
僕を取り巻く物語はあまりにも残酷で
あまりにも勝手で
惨たらしい物語だった
僕が目覚めた瞬間誰かが今日も傷ついているのか
僕の知らない物語が少しでも光のあるものになるように
ただ僕は祈るしかないだけ
それだけしかできないのさ
自信なんて持てない
威張れもしない
だから偉くもなんともない
きれいごとで終わらぬように
三日坊主で終わらないように
ただ僕は眠りの中から独り抜け出して夜の途中で小さな祈りを捧げるだけさ。
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