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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1410] 眼を閉じる
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


降り止むことのない絹の雨の中
僕は俯き立ち止まる
自分自身の今までの歩き方に誤りなどなかったか
今少し考えていた

降りしきるほどに悲しさは増す
暗雲が立ちこめる空
幼い頃からの理想と現実の狭間に迷い込むように
今僕は悩みの中さ

静かにただ静かな
世界は終わりをそっと告げにくる
静かにただ静かな
世界は終わりをそっと連れてくる

雨音が聞こえる
艶やかなその肌に伝わる冷たさは
いつかの誰か大切な人との別れの時に降っていた雨の冷たさに似ていた

静かにただ静かな
世界は終わりをそっと告げにくる
静かにただ静かな
世界は終わりをそっと連れてくる

だから
僕は眼を閉じる
その瞬間さえゆっくりそうゆっくりと
流れていく時間の重さを噛みしめながら
涙を流すその意味を
受け入れるならば
さあ今心の扉を開け放すんだ

だから
僕は眼を閉じる
しっかりと目の前の現実を受け止めて
両手に力を込めて光へと続く扉を開ける
涙を止めるその術を
知っているのなら
さあ今心の扉を開け放すんだ

眼を閉じて今
見えるものがたとえ明日を曇らせたとしても
いつか霧がはれるように
眼を閉じれば
きっと見える輝きに満ちた明日という未来
いつかこの答も解けるさ

生まれてきた意味も
ここにいる理由も
いつかわかるときが訪れる
今はそう願って
ただ僕は静かにそう静かに眼を閉じるだけさ。

2007/09/01 (Sat)

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