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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1637] おもいではモノクローム
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][得票][編集]


渇いた街には今日も沢山の人波ができて
賑(にぎ)わう広場の片隅細い路地裏
うずくまる孤独を捨てきれなくて
なんのために僕は生きてるんだろう?
無駄な時間がこんなにも無防備に流れてく
僕はそんな行き場のない想いを抱えどこへ
行くというのだろう

思えばあの頃からだいぶおかしかったね
この世界のルールにちょっと窮屈さ感じて
口を開けば溜息がもれる
なんだかくだらないことでと今は思うけど
あの頃は違ってた

見える世界があの頃と今では
まるで違う世界のように
何かあるたびに反発しあったりしてた
認めてもらえないそのもどかしさを胸に

そんな少年のやわいハートが冬の寒さに凍えぬように
暖めておくこの恋を手放さないように
あきられないように自分なりに精いっぱいだった
気づいたらかけがえのない愛になっていたんだ
僕にとってこの世界で
いちばんの存在になった

あの頃は何もかもが自分中心で
自分自身がいちばんだったけど
変わっていく気持ちは偶然なんかじゃ語れやしない
説明なんかつかない

どうしてそれなのに
君はここにいないの?
あんなに僕のこと好きだって言ってくれた
君の意志とは関係なく
終わりがそっと君に覆い被さって
気づけば君は悲しい永遠の中に閉じこめられていたよ
もう逢えない逢いたいと願っても
代わり映えのない
あの頃と同じ暮らし
嫌いになったたばこ
もうすぐ冬がこの街に訪れて
この街を白く染めるだろう
あの頃君と2人で歩いた並木道
冷たい風がぬくもりもなく裸の心を何度も突き刺す
鮮やかすぎる思い出が
今も僕を苦しめている
記憶の中の君は幸せそうにためらいもなく笑うのに
残酷な恋の終わり
悲しすぎるラスト
おもいではモノクローム

それでも続いていく
君のいない世界で
空虚感抱えたままで

2007/10/13 (Sat)

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