詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
冷めたような
見飽きたような
目で見ていた
珍しく誰もいない静かなホームの向こうをぼんやりと見ていた
たどり着く
先はこれといって決まってない
いつの間にか
僕は油断して眠ってしまっていた
夢の中で 僕はどこ行きかもわからない列車に乗って
ドアの真横につけられた手すりをつかんで
停まる列車の 中から向こう側を見ていた
向こうのホームの反対側へ行く方向の違う列車の中 ちょうど窓に寄りかかり窓の外の景色を僕と同じに見つめながら
ただぼんやりと立ち尽くす同じくらいの年格好の少女
…と思ったら見つめ合う眼差しと眼差し 気付いたら目と目とが合っていた 不意に
夢想列車に乗って
夢を旅するように
夢想列車に乗って
誰かに恋をしたよ
あの時 どこの誰かわからないけど 実際にいる人なのかさえ
あの日 夢の中でどこかで会ってる気がしたのは何故なのかな
それは僕の思い過ごしかな
それとも都合良く合わせるための妄想かな
それはわからないけれども
どちらにしても僕はあの娘に一目惚れした
それだけは今わかる紛れもない事実
僕がいちばんわかってるんだ
君は相変わらずに
どこの誰かもわからないけど
その相手に恋した
目と目が合ったあの瞬間にはじけた何か
胸の中を爽やかな風が吹き抜けていくよ
心地いい何かがやさしくなで回すように
僕は目を覆うくらいの光を受けて
あまりにまぶしくて目を閉じたんだ
君もすべての景色を闇が吸い込む…
その次の瞬間恐る恐る目を開けたら
そこはさっきまでの駅のホーム
ベンチに座ったまま眠ってしまったらしい
目を開けて気づく
さっきまで見てた全ては夢だったことに あまりにリアルな夢だったために現実だと勘違いしていた
ふと目線を上げると向こう側にこちらを向いて同じ方向にあるベンチに座ってる女の子は…。
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