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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[2491] 楽園という名の地獄
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


自由なだけの部屋で
自由なだけの船に乗り 自分なだけの人たちが棲む楽園へオールで漕いでゆく
そんな他人には傍迷惑なだけの日々は不当にもつづく
平等を傘にして誰かの声をよける人
自分にはその声は当たらないから
いくらでも言い訳やごまかしが利く
使い込んでちびた鉛筆のように僕はちっちゃくなって甘えた声で鳴いていた
社会という名の厳しさにおどおどしながら
背を屈めて媚びを売るのも面倒だから
イヤだと思う全てから逃げつづける毎日を走る 今日も
昨日と同じこの足で
一歩また一歩と足を前に出して
右足出したら今度は左足と交互に出して歩いてく
そんな動作繰り返していればいつかやでもたどり着くだろう
自由という名のわがままに奔放という言い訳がついただけの
過ちが生む自由すぎるがゆえのなにもない 空っぽの未来

散々とした部屋
薄汚れたシャツや雨が降る空のように
見たっていい気持ちはしないものだ

そんな未来に
僕は立ち尽くし
追い詰められれば
追い詰められるほどに僕は調子づいて
おどけるように悲しみさえ笑いに変える
本当の悲しさを持つ
悲しい笑顔を浮かべながら ただ踊りただ笑う

これといった理由もなく僕は詰るように
世界を 自分さえも腐らせる
太陽の下で咲く花は 日陰の中で咲く花とは違うからと

頭から決めつけるように ただのがれたい一心でたどり着いた場所

それがここ
なにをやっても許されてしまう
笑い話ですまされてしまえる偽りだらけの楽園
楽園という名をかぶった地獄
真実のやさしさを隠すただ生やさしいだけの楽園

それがここなんだ
誰しもがゆけはしないけれど
ただおちてゆくように
ただ朽ちてゆくように
僕はきれいな羽を持つ蝶にはなれず
蛾になるためにさなぎからかえり 光のない闇の中を一心不乱に飛びまわる。

2008/05/07 (Wed)

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