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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[2589] 神様はいつでも見てる
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]

こんなんじゃだめなんだ
こんなものじゃだめだよ
誰にも見せられやしない

一生ぶんの気持ちが一気に 一度に弾けだしたら
きっとそれだけで一生ぶんの心地よさと幸せを感じられるだろう

だけれど人は一度には感じられない
長い年月を経る中で少しずつ知っていくものだから

揺れる波の音と静かに消えてゆく
光がまたひとつ僕の横を通り過ぎてゆくよ
僕の横を素通りするみたいに ついさっきも

素敵なのはいつだって 対等に話せる誰か
必要ないね 悲しみなんか僕らの明日には

なんて言ってみたものの自信はまるでない
何万マイルも気持ちだけは駆け出せるのに
駆け出せるのに…

遠くで街の灯りが
はかなく揺らめいて やがてほどなくして消えた
人の命のようにまたふたたび生まれてくる新しい生命(いのち)を待つ


どうしたって
わからない
その先にあるべき
ものの答が
うまく正しい枠にはまらずにいつも無理矢理に押し込まれて窮屈そうだ

翼はやがてすべてぬけ落ちてしまう
どんなに長生きしても学べる頭を保てるのにも限りはちゃんとあるのさ
何処にいても
何処に逃げても
拭えない悲しい終わりがせつない夢の終わりの日にも夕暮れが当たり前に空を染めて 見上げた視界の中にあるのかな
瞳の中でにじむかな いつの日よりももっとずっときれいに思えるかな
命の終わりの日にはその影も引っ込むかな

悲しみはたぶん光を遠ざけ
喜びをわざと与えず僕を強くするために闇につき落としたんだと思い強く生きてゆく 現実を受け入れて

神々の歌声が空にこだましていても
聞こえない 目に見えない
信号機の上に座りながら僕を見つめてても
何も見えない 何も居やしない

それだけにサヨナラが惜しまれる神様のいない世界がそこにある 誰がいつ消えても変わらない場所に。

2008/05/31 (Sat)

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