詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
夜にひとり
ベランダにひとり
夜空に浮かんだ月を見ていたんだ
なにげなくひとり
わけもなくひとり
ため息をたばこの煙みたいに吐いてた
社会に嫌われた錯覚を勝手に抱いて
わがままな言い分をひとりつぶやいて
飲みかけのビールはまだ大人になりたての僕にはややキツい
ビールの泡がこぼれないように一生懸命すすった 苦い味が舌のうえを這うんだよ
人は何でもいいから
何かにさ一生懸命に生きれば後に残すものがなければ上出来だ
ため息ばかりの日々を生きていたって雨のち晴れだからいやなことがあればつぎはいいことがある
たとえ今日が雨降りでも明日は晴れる
そう信じないか?
僕は僕にひとり
なんとなく問いかける真夜中に自分に酔いしれていた
精いっぱいうぬぼれた
でもなぜか嫌いにはなれないの
自分のことだけは
一生僕は僕だから
僕でしかないのだから
答が出せないときには黙ればいい 黙秘権なんて言ったりして
他人なんか無視して
そう目いっぱいむちゃくちゃに生きていけば
離れてく人の足音
それでも近づいてくり新しい明日のまだきいたことのない靴音がする
瞳に映る月には寿命がありやがて終わる
世界が終わるわけじゃないから僕の瞳の中の月だけが沈む
まだ僕が死んでも空には月があるけど用済みの僕の瞳にはもう映らない
あの美しい月は
あのまばゆい月は
だからいつでも
精いっぱい
だからすべてに
目いっぱい
生きてる喜びまた悲しみ
感じるんだ
心で身体でも
感じるんだ
生きている素晴らしさを
明日も明後日もね
ずっとずっと 命が命である限り
もっともっと 感じたいと僕は願う
それは正真正銘生きてるから
それが証なんだよ
生きてる証だよ
君は生きてる たしかに生きてる
僕が認めよう
知る限りの真実が不確かなら。
[前頁] [甘味亭 真朱麻呂の部屋] [次頁]
- 詩人の部屋 -