生命線をたどってみたら 僕はどうやら短いから 三十前後でお陀仏するだろうって 友達が笑いながら 人事だと思ってゲラゲラと耳につくくらい笑ってた 誰もいない 放課後の教室で シーンとして 時間の流れが止まってしまったかのようにただかすかに聴こえる 誰かが引いてるピアノ音色だけが 無色の空間にそっと色づけてる 着古したパーカーをブレザーの上に着て まだ肌寒い二月の風をまとって 帰りの坂を自転車で駆け上る。
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