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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3368] マネキンに恋をして
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


デパートの婦人服売り場のマネキンに恋をした 毎日毎日マネキンに花束を渡しにゆく
それからボクは人間の女の子に興味がなくなった
動かない しゃべらない
それほど面倒のかからない彼女はいない 人間はうるさいしわがままだし余計な感情がなければそれもないから
そんなマネキンに面倒くさがりのボクはいっそとマネキンに恋をしてみた
何を話しても
何を話しても
彼女はある一定の方向を見て 遠い目
上目遣いで両手を左右に広げ空の雲をつかむような手
どんな気持ちで作られたの
人間になりたかったかい?
でも人間なんてイヤだよ
愚痴を聞いて

黄色いベンチ 二人座って 話す 正確にはボクだけが一方的に話す

ゆずってほしい
ゆずってほしい
できればマネキンがほしいよ
おいくらかしら
おいくらかしら
ぜったいマネキンがほしいよ

子供もブランドもなんにも求めてこないから素晴らしい
もともと人間になんか興味はない!
いちいちうるさいだけさ!

マネキンに恋をして
マネキンに恋をして
マネキンに恋をして
マネキンに恋をして

間違いじゃなかった
だって彼女はこの姿が似合う
だって彼女はマネキンだから愛らしい
ボクは好きになれる
愛してるよ

いびつな恋の始まり。

2008/12/21 (Sun)

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