詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
思い出をずっとテープに保存してたらきりがないや
すべての思い出を忘れないように保存したいけど忘れてくのもまた思い出の持ち味さ
ほろ苦くて切ない味さ
思い出にまみれてたくさんの記憶に心を縛られて
さわって目に見える思い出なんて思い出じゃないさ
本当の思い出は写真やビデオカメラじゃとらえられない
つかまえられない
デジタルの向こう側に広がる小さな世界なんかが思い出というならば
一つ一つの笑顔や涙
どこにあるのでしょうか?
どこいっちゃったんだ?
思い出はいつも胸の中で形なき輝きを放ち思い出す人たちを笑顔にも泣き顔にもするんだ
だから本当に大切な思い出は形に残せない
デジタルなんかじゃそのときの気持ち残せない
気休めのせつなさ
あふれる熱き悲しみはビデオの中や写真の中にはないのです
偶然にここにあるもの
決まっていたものでも
僕らがここにいて生きる
そして生きていく
存在をゆるされて
その事だけは真実なんだ
目に見える真実
目には見えないけど存在している真実
そのふたつを抱きしめたまま人は生まれてから死ぬまでいくつもの感動に出会う
何かを知る
僕はそんな一瞬の場面
心に残す
やがて老いぼれて忘れてしまっても
きっと瞳の奥で思い出は揺れている
たとえいつか終わりにたどり着いても
僕や君という存在は確かにいたから 思い出の中で生きてる
悲しみばかりにさいなまれないで
悲しいのはわかってる
君だけじゃないさ
一人の悲しみじゃない
僕もいつか消えてしまって過去の存在になっても
きれいな思い出の中で生きる
懐かしいゆりかごに揺られながら
やさしい声に包まれて
いつまでも笑いたい
生きていた時あまり笑えなかったぶんまで思い切り笑いたい
その日がきたら
僕は 僕は きっと
誰かや自分の思い出の中で…
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