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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3649] 欲望という名の船に乗り
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


僕ら 欲望という名の船に乗り
どこまで行くんだろう
どこまで流れてしまうんだろう
君も 欲望からは逃れられない
あれもこれも欲しいよ
それもすべて欲しいよ

欲望を抱くことは悪いことじゃない
限度守った欲望を抱くだけならおかしくはならない
欲望の限度をこえてしまうから人は狂うんだ
いつまでもあくなき探究心で何かを欲しがる
なにを犠牲にしても
そのうち他人の痛みさえわからなくなる
自分の痛みですら

だからこの辺で船からは下りようよ
もう十分だろう
この先には行かない方がいい
正しさも悪くなる
限度をこえるから悪くなる

だから欲望に染まりきるまえに船から下りようよ
僕は勇気を出して
卑しい欲望にこれ以上操られないように手を挙げて下りますと言ってみせるよ

欲望の船を下りてみせるよ
つまらない日常も飽き足らないものがまだあるはずだ
欲望の手を借りなくても満たされるなにかが

だから僕は下りるよ
欲望にはもう十分懲りたし十分お世話になった
ほどほどでほどほどで僕は欲望に手を振る
手持ちの欲望だけでいい
手のひらの大きさの分の幸せでいい
これだけあればいいから

文句言われても
止められても
欲望に押さえつけられても殴ってでも抜け出すよ
いやな人間にはなりたくないし欲望のせいにもしたくない
僕は欲望に打ち勝つすべももってる
いいわけなどもってのほか

港に不時着
船は遠く
カモメが鳴く
惜しむあこがれ
残念がる僕
でもこれで良いんだ
欲望にのまれなくてよかった
人間らしすぎる人間はイヤだから

小さな幸せを繰り返し繰り返し欲す日々
少しだけ自分にブレーキかけて溢れ出す欲望に歯止めをかけて大人になるんだ
それが欲望の飼い慣らし方

大丈夫 それでなくすものなどない
あとでいいことあるさ…

2009/02/12 (Thu)

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