詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
つまようじで心の隙間にたまったカスをひとつ残らずかきだしたいよ
ぼくをいつまでも悲しませるような記憶なんて要らないし残す必要もないから
ぼくを縛るのは変わらない生活と吐き気がするくらい息苦しい檻のような社会
涙を流してみてもさそれは意味さえなく撃ち落とされる
楽園はどこにあるのか
蜃気楼のような幻なのか
季節はめぐるのにぼくの時間はずっと止まったまま
進まない進んでくれない
凍り付いたままの記憶
桜の花びらも凍り付いたまま散らず舞わずでただピンク色できれいだってだけ
年老いていくたびに愛しくなっていく幼い時間を閉じ込めて
まるで赤子のように泣きわめくぼくがいる
冬に見た ぼくは見たよ
季節はめぐっても変わらない記憶の中
ぼくはいた そこにいた
ぼくがぼくを眺めながら懐かしそうにいつまでも思い出話を語る さかづきを片手に
生まれたばかりに背負わなきゃならなかった悲しき宿命(さだめ)
それもまた運命(さだめ)
美しい必然
ぼくは笑って言いたい
いつか闇に墜ちても…
永久に忘れぬ記憶を抱いて 懐かしみながらも惜しみながらも前へ進む
冬の蜃気楼が消えた向こうにきらめく未来が見えたら
止まっていた時間もきっと動き出す
変わらなくてもつまんなくてもそれはそれで平和なんだし幸せってことで笑おう
やがて終わりゆく時間なら足跡をくっきり残していこう
雪でうまった白い道にぼくの歩いたあかしを
いつか消えてしまっても
それが命と語らいでかかった涙を笑顔に変えてやる
変えてやる
そうやって明日明後日と繰り返し繰り返し蜃気楼の先に見える幻じゃないリアルな夢に近づいてく
血もにじむような努力と塩辛い汗を流しながら
きっといつか
きっといつか
たどり着くだろう
真の楽園に
真の楽園に。
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