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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3715] 恋桜〜コイザクラ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


君に恋をしたけど
僕はなにをすりゃいいのかわからず
ただ好きだという思いを抱えたまま
打ち明ける勇気もなくそのチャンスさえつかめないまま
幾度 過ぎた日々

蹴飛ばした思いよ
返り咲いた気持ちよ
桜が散るまえにどうか君に届けたいんだ
あきらめては先には進めない

ピンク色に染まってこんなにも見事なまでに咲いてる恋桜 なのに僕ってやつは…
それでも
好きという気持ちにはためらいが付き物
まるで影のように僕の心に落ちた涙
意気地のない僕が伝えられるのか
そればかり気にしちゃって
君の姿を遠くから見るだけが精一杯で
淡い気持ちはにじんで行くばかり日毎に切なさを増しながら

天秤はどちらにかたむくこともなく水平をたもったまま落ち着いた
それも恋
伝えられなくても恋だぜ
でも悲しい恋だぜ

校舎の影でひとり泣き崩れた夕暮れよ
今では恥ずかしい思い出
蹴り飛ばした壁が少しもへこまない
自分の弱さにため息すら出ないな

恋桜 春を見送るように散っていく思いの化身さ

さよならと手を振って僕は新しい明日へ旅立つ

叶わなかった恋は終わりじゃない始まる前のささやかな痛みなんだ
そう思ったらなんか泣けてきたけど大丈夫
未来は思うほど悪くない気がしてる
涙流すことは消えなくてもキズ跡は残ってもちゃんと明日に行けるから
きっといつか僕にも春はおとずれる
そう今はぬぐえぬ悲しみ紛らわせ眠らせるだけ
またこの気持ち起こすまで眠らせるだけ
来年に持ち越しだ
そのときは今年よりずっと見事に咲くだろう
願いながら目を閉じる
桜の花びら 舞う校庭のまん中で。

2009/03/01 (Sun)

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