ホーム > 詩人の部屋 > 甘味亭 真朱麻呂の部屋 > ホールインアイラブユー

甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3772] ホールインアイラブユー
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


ブラックホールに消えてゆく僕のほんの小さな言葉
愛してる 君に届くころには跡形もなく宇宙の塵になる
出口のないその永遠の暗闇の中 きっと想いは吸い込まれたまま 返ることを望まない
捨ててはならない
わかってても手元にあるだけで苦しい
ブラックホールに自ら葬り去った想いはもう返らない
それはそれで悲しい
ホールインアイラブユー
でも今さら返らない
ホールインアイラブユー
想いはもうすでに宇宙の塵
言わずにおしまいにした恋の傷が痛んでも それはもう癒えぬ傷
言って叶わぬ恋より
言わないまま叶わぬ恋のほうが痛みは大きい
傷は深い
わかっていたのにわかってなかった僕だった
ホールインアイラブユー
残ったものは傷ひとつ
いつまでも拭い去れぬ悲しみひとつ
臆病者の代償ひとつ
とてつもなく大きい人生を左右する失態ひとつ
今も僕を暗闇に突き落とす
ブラックホールより深い悲しみの闇へ
その悲しみは僕をなじる なぜ言わなかったと
今もそう思う
僕は歩き出せない
ブラックホールから
一歩も
未来はそこで輝いてる
それなのに進めない僕がいる 僕がいる
透明な僕が消えそうな存在を嘆いてる
その真横を 時間だけが色を変えながら僕を置いていく
いくつもの季節を連れ出しながら 僕だけを置き去りにしたまま 古ぼけた夢の中
木枯らしの中 寒さにふるえる心
すでにもう真夏
信じられないほど厚着の僕は 不安着込んで泣いている 泣いている
心の真冬に嘆いてる。

2009/03/16 (Mon)

前頁] [甘味亭 真朱麻呂の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -