詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
君とさよならする事さえ君と今まで愛し合ってきた証さ
そしたらとても悲しい証ではあるけれど証には変わりない
君とよく通いつめた商店街のあの喫茶店
だめな僕はめんどくさがって免許も取らずに君とひたすら歩いてた 不器用に肩を並べて
それでも君はいいよと僕の頼りない背中に寄り添って笑って言ってくれた…そうだあの日も
すべてをゆるしあってきた
すべてを分かちあってきた
でも、僕らはあまりにすべてをゆるしすぎて分かちあいすぎた
知らない間にその繰り返しがふたりの心にみぞを生んでしまったんだね
なんの防御もない無防備な優しさがいつの間にか目を離したスキに冷たい風になってしまったんだよ
僕らの心にふゅるり吹いていっただろ
いつか本に挟んで押し花にしたしわしわの桜の花びらが僕たちの流す涙で青く染まった
今は見る景色 すべてがまるで色彩を欠いたつまらないプラモデル
目がおかしくなったのかな…
それともなんだか変な世界に迷い込んだ夢をみてるのかな…
なんて
これは夢じゃない
夢であるはずもない
あなたに言ったさよならは今も確かに胸の中をのぞけばしわくちゃになった桜の花びらがあるよ
この花びらは君とのたったひとつの愛の証
深い悲しみをつれてくるさよならの言葉さえそれだけはむしばめない
大切な大切な思い出
そのぶん切ない記憶
きっと運命の赤い糸で結ばれていた僕らはなんらかの手違いに転んだだけ
今は 今は 今は 検討を練ってるだけ
離れて おたがい
なんで泣いてたんだろう
窓からのぞく景色の中に立派な桜の木と消えない君のあの笑顔 あの涙
春の始まりだというのに僕だけまだふるえてる
さよならひとつで
今だから言う
君は僕のすべてだったと
悲しいくらい満開の桜がどこかに憎いな。
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