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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[688] 夕焼け色した涙
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]

今日も何事もなく日が暮れていくよ
空がキレイなオレンジ色に染まっていくのを眺めてる
今日はいろんな事があったな
だけど大したことはなかったな
昨日とさほど変わらない一日だったよ
それは一昨日も一昨々日も同じだったけど

ベットで寝転がりながら
外のすゞやかな五月の風が僕の頬を優しく撫でる
目をつむればいつの間にか明日になるんだな

何か変えなくてはと僕は焦りながらも
結局何も変えられずに何を変えればいいのかそれすらわからないままで
気がつけば空は夕焼け
家路へと辿る僕の真後ろに影が伸びる

夕空の温かな光
僕の部屋に降り注ぐ
惚けた顔の僕の顔を赤く染めて
涙を何食わぬ優しさで乾かしてくれる
きっと明日も今日みたく何ひとつ変わらずに
夕焼け空をこうして眺めるんだろう

それでも良いかなと
僕は自分を納得させるように頷いた
愛も温もりもない暮らしだけれど
あの夕陽だけが僕に優しさを 温もりを
与えてくれるから

そうつぶやいたら
僕はタバコも酒にも目もくれず
ちょっとばかり潤んだ瞳から夕焼け色した涙を拭って
カーテンをゆっくりと閉める。

2007/03/15 (Thu)

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