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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[88] 思い出の海
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][得票][編集]

砂浜に書いた二人の名前と相合い傘
押し寄せる波に流されて
すぐに消えてしまう

そんな風に思い出なんて
儚いものなんだ
愛する人のためせっかくアプローチしたのに
惜しくも無駄になってしまうことだってある

あれから何年経ったか今も思い出すよ
水平線にゆっくり沈んでいく夕陽
君の手の温もり
風に揺れる君の長い髪
すべての場面が昨日のことみたく蘇ってくる

君は言ったね
二十歳になるまで待っていてと
僕は言ったね
じゃ約束だよ
小指と小指で指切りげんまん
約束だ…
約束よ……
あの日のキスは忘れてない
甘く切なくどこか淡い味

思い切り騒いだから
少し疲れて
帰りの車の中
君はぐっすり夢心地
渋滞に引っかかって
窓を開けたら
涼しい夜風が頬を撫でた
口に出した君の名を
この胸にずっと刻みつけよう
カーステレオを止めて
君に優しく笑いかけた
あの夏の夜。

2006/12/16 (Sat)

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