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木菟の部屋


[1] パインアップルパッションフルーツ
詩人:木菟 [投票][編集]



いない いない ばぁ。





ちゃんと
ここに居るよ
ここにいる。
君が泣きながら笑っているからね
僕は
君の側にいるよ
大丈夫さ
今は泣きたいのだろうけれど
泣いてて構わない
コンクリートの上に
真夏のパチンコの屋の駐車場の車内の中に
トタン屋根の上に
きみを置いていくこともできる
けれど
僕はここに居ると
きみと一緒にいると
決めたから
今決めたから
明日には嘘になってしまうかもしれないけれどね
側にいるよ
ちょっと待っててね
絵本を持ってくるよ
大丈夫だよ
ちゃんと聞こえているこの耳だって
まだちゃんと聞こえているから
いつかきみの記憶に残るだろうか
今日みたいなよく晴れた日
ときどき雲間から心地よく照らしてくれるぴかぴかした
僕だけがちょっとばかり哀しくもなる
この日差しと
ささやかな優しい風
今僕の目にうつるのはこの部屋と
きみときみを包む僕の手と
太陽の光と
このぼろアパートと
この町と
規則正しい列車と
鞄を持った学生と
会社員と
迷子と
青い空と
歌う鳥達と
やがてくる
茜色に染まる暮れ

隠れて今日は
どこかでワインでも呑んでるだろう
神様みたいな月












2011/08/26 (Fri)

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