詩人:あいく | [投票][編集] |
昔私が
まだ若かった頃
まだ見ぬ
開拓地を求め
旅して歩き
メキシコの
片田舎を
訪れた時の
話だ
寂れた酒場の
片隅で
インディアンポーカーに
興じていた
二人の老人に
たずねてみた
「フロンティアは
どこにありますか?」
一人の老人は
「ここだ」
と答え
もう一人の老人は
「ずっと遠くだ」
と答えた。。。
詩人:あいく | [投票][編集] |
冬の出口を
抜けた所で
日差しを
見つけた
ちりちりと
産毛をなでる
そんなふうな
まるで柔らかで
温かなな手に
なでられるような
そんな気がした
懐かしい
古い記憶が
ふと目を覚ます
ああ私は
何処かへ
帰りたいのだ
何処かへなんて
なんだかわからない
そんな場所なのに
その何処かへ
帰りたいなんて
不思議な
感覚なんだけど
それでも私は
この暖かさの
おかげでしょうか
クツクツと
その不思議な
感覚を笑って
いたのです。。。
詩人:あいく | [投票][編集] |
春の夜空は
水性絵の具で
描かれていたのか
滲んだ月は
ゆらゆらと
形を変える
そんなものだから
空ばかりも
見ていられないと
地面に目を
おとして見れば
私の足元だけに
雨が降っていた
ようだった。。。
詩人:あいく | [投票][編集] |
家の中に居るのに
雨が降って来た事に
気づくじゃないか
遠い幽かな雨音だけど
そうだって気づく
窓に駆け寄って
やっぱりそうだって
確かめたりする
それと同じで
私は貴方の
心に降る雨に
きっと気付くんだよ
でもこっちの雨は
確かめようと
窓に駆け寄っても
開け放つ事も
見透かす事も
とても難しい事
けれどきっと
遠い雨音が
耳に届く様に
貴方の心に降る雨は
私に幽かな雨音を
伝えているから。。。
詩人:あいく | [投票][編集] |
あの子は
とても強い子
いつもでも
とても大きな
バケツを持って
歩いてたんだ
どんな時だって
そのバケツの
中身を溢すことは
なかった
転んだ時もあった
それでも決して
溢さなかった
そうやって
ずっとずっと
歩いていたんだ
でもある日
その大きな
バケツから一滴
ほんの一滴だけど
流れ落ちた
いつの間にか
その大きな
バケツでさえ
いっぱいになってた
そうして溢れ出した
わずかな一滴
その一滴を溢した後
あの子は照れたように
苦笑いをした
あの子は
ほんとに強い子
私は溢した一滴よりも
バケツに残った方を
見てあげたい。。。
詩人:あいく | [投票][編集] |
彼の歌声は
とてもとても
小さかったのです
でも彼はそれを
あまり気にしません
なぜならば
傍を行き交う人の
耳に偶然届くことも
あるでしょうし
彼の歌を聴いたいと
思う人ならば
彼の傍に寄って
耳をたててでも
聴いてくれるでしょう
沢山の人に
届かなければいけない
そんな決まりが
世の理でもないでしょ
傍らに寄る人に
届けばいいのだと
彼はそんな歌を
歌いつづけるのです。。。
詩人:あいく | [投票][編集] |
自分に絶望した
翌朝に目覚めて
思いついた
そうだ
ギターがあれば
いいんじゃないか
きっとギターなら
全ての魂を弾き鳴らせられる
そう思ったりする
そうだ
ギターを買おう
ギターを買いにゆこう
いや違う
違うな
そうじゃないな
そうだ
バットがあれば
いいんじゃないか
きっとバットなら
馬鹿みたく振り続けられる
そう思ったりもする
そうだ
バットを買おう
バットを買いにゆこう
そうだ
そうだった
ハズだった
でも全部嘘だ
何故なら
ギターも
バットも
もう
持ってるんだ
弾かないギターも
振らないバットも
もう
そこにあるんだ
だから
そんな自分に
絶望しちゃうじゃないか。。。
詩人:あいく | [投票][編集] |
寂しいから
飲んでるなんて
決め付けないでよ
女が一人で
カウンターに
座っちゃイケない
なんてさ
マぢなフりして
話してた
アタシは笑って
聞き流してた
グラス転がして
遊べてた頃は
それでも
良かったのかもね
願い事を書いた
SEVEN STARs
まだ火は付けないの
いつかは煙に
してしまえるのかしら
待ってるわけじゃ
ないけれど
看板までは
立てないわ
切ない今夜は
独りで酔わせて。。。