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赤坂 菜葉の部屋


[13] Going
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


その気があれば
何でも通る。

足元に踏みつけた
一般大衆に
気付いたら
彼はナポレオンに
なれなかった。

みんな疾しさに
克てないから
立ち止まってしまう。

Goingなひとりが
新しい道を開き
その他大勢がみんなで
そこを通るけど
先行く人はきっと
本当は不安で
足元の異変に
気付いていながら
まるで
クライマーのように
遭難を恐れて
下を見ないように
しているんだろう。

高い場所に
恐怖を覚えながら
必ず一度は
ダイブを夢想する、
人は
そんな厄介な快感原則に
囚われた生き物だから
気付いた途端に
奈落の底へ滑落する。

下を見る誘惑に
負けた彼は
普通の人に戻った。
しあわせだったのかも
知れない。

2009/10/14 (Wed)

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