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赤坂 菜葉の部屋


[49] 花火の夜
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


美しいものは
命を対価として
要求する

物見遊山の重みに
耐えかねて崩落した橋梁

喧しい警笛と
夥しい回転燈
折り重なる肉塊の山



灯火管制の下
焼けた電球を指先で掴み
左に回して闇に鎮む日々

飴のように
溶けたラムネの瓶
朽ち木さながら
炭化した人型

巨大な茸雲に
ただ見惚れていた


蝉時雨
止んで挽歌の
意味を知り

2012/08/05 (Sun)

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