詩人:アル | [投票][編集] |
銀色に
凪いだ湖面
微睡むように
夕暮れの風は
寂しさの吐息
波音は
悠久に刻む
時の足音
夕闇に瞬く星
孤高に耐えて
遠くから
聞こえ来る
笑い声
空気を切り裂く
ロケット花火
喜びも哀しみも
いつか過ぎ去り
浜辺を洗う
波のように
寄せては返し
繰り返す
きみは彼岸に
ぼくは此岸で
記憶の中で
生き続ける
その川を
渡るまでは
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ぼくが怠けると
みんな
生きてけないのに
不満ばっかり
言うんだね
テキトーになんて
ぼくの力じゃ
ムリなんだ
哀しくて
悔しくて
涙が湧いてきた
でも…
ぼくに濡れて
風邪引いちゃうね
ぼくのせいで
お家潰れちゃったね
たくさんの人が
死んじゃった
切なくて
辛くって
涙が止まらない
ごめんね
ごめんね
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バチバチ弾ける
青いネオン管
月の見えない夜に
何を求めて
ロンリーウルフ
裏街を彷徨い歩く
死角を殺めて
監視するカメラ
逃げ場のない街で
何に焼かれて
ロンリーウルフ
酔い潰れる裏通り
クサい物には
フタをして
理想を現実で
塗り潰して
諦めは
野垂れ死にの
レクイエム
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自分の足下は
一番遠くて見辛い
自分の脳味噌は
人のと繋げられない
鏡で眺められるのは
自分の外見ばかり
それさえ反対に映る
一瞬で過ぎ去る
電光掲示板の
文字のように
流れてく感情を
とりとめもなく
読んでいる
自分を一番
判ってないのは
自分だった
ぼくらの目は
近くをずっと
見つめるようには
作られていない
疲れてしまうから
日本一の山も
登ってみれば
赤茶けた
ガレキの山だった
だから
日本一キレイに
見えるんだろう
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必要な人を
失う度に
迷路は増えて
経験は
地層のように
重なってはくれない
三半規管は
チリチリと
スパークしたまま
バランスがとれない
体を伸び縮みすれば
歩けることは
知っている
遥かな大地で
辛うじて
繋がっているという
途方もない
想いだけが
塩で溶けかけた
ナメクジの動力源
かたつむりには
なれない
背負うべき
殻が退化するなら
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「誰が言ったかより
何を言ったか」
バーチャル世界の
金科玉条。
しかし
「その花はキレイだが
その花について知れば
もっと好きになる」
そこには質の転化がある。
キレイから好きへ。
つまり
客体を目で捉え
その主体を問えば
物に移るものがある。
亡き人が
踏んだかも知れない
と思うだけで
ただの砂利石が
大事な形見となる。
内容という器に
収まり切れずに
溢れくるもの。
「何」の向こうに
必ず「誰」がいる。
だから「誰が言ったか」
の方がいい。
それに
「何を言ったか」があれば
もっといい。
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答えを
知っているみたいに
当たり前に
夜は明けるけど
ヒントも暮れずに
朝日は昇る
出口を
あらかじめ用意して
トンネルは
闇を装うけど
暗さに慣れた頃
明りが見える
何もかも面倒臭くて
何をするのも億劫で
やんなきゃ
終わらない
知ってるけど
演んなきゃ
始まらない
震えてるけど
嫌なキャット
ニャンニャン
増えるけど
何ひとつ
片付けなくて
カタジケナイ
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すべて残して
たった一人で
逝ったのに
残りの人たちは
大勢でしかも
何ひとつ捨てない
書くほどに
減ってゆく
ノオトの白いペイジ
書き手のない時間は
生き場を失って
そのぐるりだけ
流れるのを止めた
639日間
乾いた川を潤す
記憶という名の雨が
ぽつりぽつり
でも、もう再び
瀬音は聞こえない
キオクノオト
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希望も絶望も
無も無限もない
あるのは浮遊する粒子
個が全体で全体が個
君が僕で僕が君
置き換わってゆくばかり
他には何もない
喜びも哀しみも
風のように
ただ吹き抜けてゆくだけ